#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストは鳳燐さんより。ありがとうございました!
---------------------------------
まおのかいぬしのかたわれ、うーちゃんは「つんでれ」といういきものらしい。
「つんでれ」は、すきなあいてのまえでちょっととげとげしたたいどをとってしまうものらしいと、ものしりのしまにいがおしえてくれた。
たしかにうーちゃんはよーちゃんにほめられたり、ちゅーされたりすると、なんでかしらないけどよくおこる。
けどそのあと、よーちゃんがいなくなると、きまってうーちゃんはまおをぎゅーっとだきしめて、
「またやっちゃった……どうしようまお、陽介に悪いことしちゃった……」
って、おもいっきりこうかいする。
こうかいするならやらなきゃいいのに、「つんでれ」にはそれがむずかしいことらしい。なんだかめんどくさいいきものだ。
……でも、それをよーちゃんは
「ツンデレたまんねえマジ可愛い」
っていうから、きっともっとめんどくさいのはよーちゃんのほうなんだとおもう。
リクエストは鳳燐さんより。ありがとうございました!
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まおのかいぬしのかたわれ、うーちゃんは「つんでれ」といういきものらしい。
「つんでれ」は、すきなあいてのまえでちょっととげとげしたたいどをとってしまうものらしいと、ものしりのしまにいがおしえてくれた。
たしかにうーちゃんはよーちゃんにほめられたり、ちゅーされたりすると、なんでかしらないけどよくおこる。
けどそのあと、よーちゃんがいなくなると、きまってうーちゃんはまおをぎゅーっとだきしめて、
「またやっちゃった……どうしようまお、陽介に悪いことしちゃった……」
って、おもいっきりこうかいする。
こうかいするならやらなきゃいいのに、「つんでれ」にはそれがむずかしいことらしい。なんだかめんどくさいいきものだ。
……でも、それをよーちゃんは
「ツンデレたまんねえマジ可愛い」
っていうから、きっともっとめんどくさいのはよーちゃんのほうなんだとおもう。
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以前頂いた夏に菜々子と昼寝するセンセイ+飛鳥君か卯月くださいリクエストを一緒に混ぜ込んでしまいました申し訳ない。
かやさん(@kaya_pe)家の自宅主くん、森崎飛鳥くんをお借りしています。
リクエストは勿論のことかやさんより。ありがとうございました!
---------------------------------
「た、だ、い、ま!!」
夕方になっても勢いを失わず、まるで灼き殺そうとするようなキツい太陽光線と追い縋る蒸し暑さから、逃げるようにして玄関に転がり込む。
それらが家の中に入らないように慌ててぴしゃんと扉を閉じて、飛鳥はぐったりと頽れるようにその場に蹲った。
(なんだあの過酷極まりない労働環境、しんどい……!)
呻きは最早音にすらならず、代わりに長い溜息を吐くのが精一杯だ。
今日は、先日花村に依頼されたジュネスでの短期バイトの初日だった。飛鳥が担当したのは屋上で行われるヒーローショーの待機列形成や迷子案内だったが、これが滅茶苦茶大変だった。真夏日の炎天下、列を無視して騒ぎ動きまわる子供たちに振り回され、泣きわめく大量の迷子の面倒を見るのは、テレビの中でシャドウと戦うよりもよっぽどやりづらい。シャドウは武器やスキルで叩けば消えるが、子どもの対処はそんなにシンプルにはいかない。誘導したり、宥めたり、比喩ではなく本気で目が回った。
花村の頼みならばと二つ返事でOKを返してしまったバイトだが、正直考えなし過ぎたと後悔せざるを得なかった。多分同じく助っ人を頼まれた里中もそう思っていることだろう。
(……花村やクマは、いつもあんなところで働いてるんだな)
俺にはとても真似できそうにない。あいつらすごいなと思いながら飛鳥はスニーカーを脱ぎ、上がり框に足を掛ける。ひんやりとした板張りの床の感触が気持ち良く、一歩歩を進めるごとに冷たい空気が火照った頬を掠めた。どうやら居間の冷房は入っているらしい。
「菜々子、ただいまー」
台所に入ると同時に従妹の名前を呼ぶ。しかし彼女からの返事はなかった。
「あれ?」
おかしいなと思って繋がる居間に視線を移す。と、座卓の傍でころんと横になっている従妹の姿が目に入った。
(しまった、昼寝してたのか)
音を立てないようにそろそろと近づきそっと覗き込むと、幸いなことに菜々子の目は覚めていないようだった。座卓の上に広げられた今日の分の宿題はきっちり終えられていて、庭に干していた洗濯物も畳まれて置かれている。どうやら自分の帰りを待っていているうち、睡魔に負けてしまったらしい。
風邪をひいてはいけないと飛鳥は慌ててブランケットをもってきて、そっと彼女の体に掛けてやった。
幸せそうにすよすよと穏やかに眠る菜々子の姿に、我知らず頬が緩む。
体も心もくたくただけれど、自分のことを家で待ってくれている人がいる。それだけで何だか、元気になれる。明日も頑張ろうと、素直に思える。
(叔父さんも、仕事から帰ってくるとこんな気分なのかな)
飛鳥は小さく笑うと、音を立てないようにそっと立ち上がった。
とりあえずシャワーを浴びて、それから俺も菜々子と一緒に少し昼寝をしよう。夕飯は暑いし、すぐに作れるから素麺でいい。あとは枝豆でも茹でて、今日はビールを出してあげてもいいかもしれない。なんだか「お仕事お疲れ様です」とそう言ってあげたい気分なので。
かやさん(@kaya_pe)家の自宅主くん、森崎飛鳥くんをお借りしています。
リクエストは勿論のことかやさんより。ありがとうございました!
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「た、だ、い、ま!!」
夕方になっても勢いを失わず、まるで灼き殺そうとするようなキツい太陽光線と追い縋る蒸し暑さから、逃げるようにして玄関に転がり込む。
それらが家の中に入らないように慌ててぴしゃんと扉を閉じて、飛鳥はぐったりと頽れるようにその場に蹲った。
(なんだあの過酷極まりない労働環境、しんどい……!)
呻きは最早音にすらならず、代わりに長い溜息を吐くのが精一杯だ。
今日は、先日花村に依頼されたジュネスでの短期バイトの初日だった。飛鳥が担当したのは屋上で行われるヒーローショーの待機列形成や迷子案内だったが、これが滅茶苦茶大変だった。真夏日の炎天下、列を無視して騒ぎ動きまわる子供たちに振り回され、泣きわめく大量の迷子の面倒を見るのは、テレビの中でシャドウと戦うよりもよっぽどやりづらい。シャドウは武器やスキルで叩けば消えるが、子どもの対処はそんなにシンプルにはいかない。誘導したり、宥めたり、比喩ではなく本気で目が回った。
花村の頼みならばと二つ返事でOKを返してしまったバイトだが、正直考えなし過ぎたと後悔せざるを得なかった。多分同じく助っ人を頼まれた里中もそう思っていることだろう。
(……花村やクマは、いつもあんなところで働いてるんだな)
俺にはとても真似できそうにない。あいつらすごいなと思いながら飛鳥はスニーカーを脱ぎ、上がり框に足を掛ける。ひんやりとした板張りの床の感触が気持ち良く、一歩歩を進めるごとに冷たい空気が火照った頬を掠めた。どうやら居間の冷房は入っているらしい。
「菜々子、ただいまー」
台所に入ると同時に従妹の名前を呼ぶ。しかし彼女からの返事はなかった。
「あれ?」
おかしいなと思って繋がる居間に視線を移す。と、座卓の傍でころんと横になっている従妹の姿が目に入った。
(しまった、昼寝してたのか)
音を立てないようにそろそろと近づきそっと覗き込むと、幸いなことに菜々子の目は覚めていないようだった。座卓の上に広げられた今日の分の宿題はきっちり終えられていて、庭に干していた洗濯物も畳まれて置かれている。どうやら自分の帰りを待っていているうち、睡魔に負けてしまったらしい。
風邪をひいてはいけないと飛鳥は慌ててブランケットをもってきて、そっと彼女の体に掛けてやった。
幸せそうにすよすよと穏やかに眠る菜々子の姿に、我知らず頬が緩む。
体も心もくたくただけれど、自分のことを家で待ってくれている人がいる。それだけで何だか、元気になれる。明日も頑張ろうと、素直に思える。
(叔父さんも、仕事から帰ってくるとこんな気分なのかな)
飛鳥は小さく笑うと、音を立てないようにそっと立ち上がった。
とりあえずシャワーを浴びて、それから俺も菜々子と一緒に少し昼寝をしよう。夕飯は暑いし、すぐに作れるから素麺でいい。あとは枝豆でも茹でて、今日はビールを出してあげてもいいかもしれない。なんだか「お仕事お疲れ様です」とそう言ってあげたい気分なので。
#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストは観月さんより。ありがとうございました遅くなってごめん!
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「おぉい、一期ー」
背に掛けられた己を呼ばわる声と開いた障子の音に、部屋の中にいた弟たちの視線が全て己の後ろに向けられた。
それに一拍遅れて振り返った一期の視界に入ったのは、まぶしいくらいの真っ白なひとだ。
「鶴丸殿。如何いたしましたか?」
何か御用でしょうかと問いかけると、鶴丸は少し申し訳なさそうに形の良い眉を下げた。
「主殿が呼んでるぜ。次の出陣について相談があるんだそうだ。弟君たちと遊んでいるとこ申し訳ないが、一寸来てくれないか」
「承知致しました、すぐ参ります!」
主の命なら否やはない。立ち上がり、こちらを見上げる弟たちに「すまない、行ってくるよ」と言えば、弟たちは満面の笑みで行ってらっしゃいと手を振り、送り出してくれた。彼らに軽く手を振ってから障子を閉め、一期は先行する鶴丸の背を追いかける。隣に並んだところで、それにしても、と鶴丸がぽつり呟いた。
「君は見つけやすくて助かるなぁ」
「そうでしょうか?」
「そうさ。弟君たちの声を追えば大体君がいる。そうでなくても、目立つナリをしているからな」
「それは、鶴丸殿には言われたくないですな」
自分の色彩が派手であることは認めるが、白一色の方がよほど目立つだろう。そう思って反論すれば、鶴丸はそうか? と首をかしげた。
「君ほどじゃないと思うがな。例えば雪原とかにいればほら、目立たないだろう、たぶん」
随分と限定された例に、思わず一期は軽く吹きだす。
「はは、それはそうかも知れませんな」
「だろう?」
そう言ってにっと笑う鶴丸に、けれど、と一期は言葉を続ける。
「雪如きが、あなたの存在感を隠せるとは思いません」
それに鶴丸は、ぱちりと瞬きを一つ。
「それじゃあ君は、一面の白の中でも俺を見つける自信があると?」
「ありますよ。必ず見つけて差し上げます」
その、一期の即答に。
「……そうか。じゃあ、見つけられて驚く日を楽しみにしてるぜ」
鶴丸は金色の双眸を緩め、どこか嬉しそうに小さく笑った。
リクエストは観月さんより。ありがとうございました遅くなってごめん!
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「おぉい、一期ー」
背に掛けられた己を呼ばわる声と開いた障子の音に、部屋の中にいた弟たちの視線が全て己の後ろに向けられた。
それに一拍遅れて振り返った一期の視界に入ったのは、まぶしいくらいの真っ白なひとだ。
「鶴丸殿。如何いたしましたか?」
何か御用でしょうかと問いかけると、鶴丸は少し申し訳なさそうに形の良い眉を下げた。
「主殿が呼んでるぜ。次の出陣について相談があるんだそうだ。弟君たちと遊んでいるとこ申し訳ないが、一寸来てくれないか」
「承知致しました、すぐ参ります!」
主の命なら否やはない。立ち上がり、こちらを見上げる弟たちに「すまない、行ってくるよ」と言えば、弟たちは満面の笑みで行ってらっしゃいと手を振り、送り出してくれた。彼らに軽く手を振ってから障子を閉め、一期は先行する鶴丸の背を追いかける。隣に並んだところで、それにしても、と鶴丸がぽつり呟いた。
「君は見つけやすくて助かるなぁ」
「そうでしょうか?」
「そうさ。弟君たちの声を追えば大体君がいる。そうでなくても、目立つナリをしているからな」
「それは、鶴丸殿には言われたくないですな」
自分の色彩が派手であることは認めるが、白一色の方がよほど目立つだろう。そう思って反論すれば、鶴丸はそうか? と首をかしげた。
「君ほどじゃないと思うがな。例えば雪原とかにいればほら、目立たないだろう、たぶん」
随分と限定された例に、思わず一期は軽く吹きだす。
「はは、それはそうかも知れませんな」
「だろう?」
そう言ってにっと笑う鶴丸に、けれど、と一期は言葉を続ける。
「雪如きが、あなたの存在感を隠せるとは思いません」
それに鶴丸は、ぱちりと瞬きを一つ。
「それじゃあ君は、一面の白の中でも俺を見つける自信があると?」
「ありますよ。必ず見つけて差し上げます」
その、一期の即答に。
「……そうか。じゃあ、見つけられて驚く日を楽しみにしてるぜ」
鶴丸は金色の双眸を緩め、どこか嬉しそうに小さく笑った。
#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストはありよしさんより。ありがとうございました!
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「シャドウ5体、来ますっ!」
風花の声に、最初に反応したのはコロマルだった。どこからともなく現れたシャドウたちを睨みつけ、空気を切り裂くように一声吠える。
蒼い燐光が走り、遠吠えに応えるように現れたのは、コロマルのペルソナだ。地獄の番犬の放つ業火はシャドウ達に容赦なく襲い掛かり、その大半を灰と化す。
――しかし。
「まだ残ってる!」
りせの警告が響くと同時、一体のシャドウが炎の中から飛び出してきた。
数が多かったせいか、全滅させるには到らなかったらしい。その身を焼かれながらも、シャドウは振りかぶった腕をコロマル目がけて叩きつけようとする。
「そうはさせるかよっ!」
同時、シャドウの仮面に、陽介の投げた苦無が深々と突き刺さった。
名状し難い断末魔を残し、シャドウの姿が掻き消える。風花とりせ双方から敵の気配が消えたことが告げられると、各々が武器を下ろし安堵の息を吐いた。
「はー、しぶてぇの。大丈夫だったかー、コロマル?」
「ワン!」
そんな前衛二人のやり取りを横目で見つつ、後衛に控えていた善も念のためにぐるりと周囲を見回し、それからようやくボウガンを下ろす。
そのタイミングを見計らったように、善のマントをついと玲が引いた。
「? どうした、玲」
「ねえ、善。コロちゃんと陽ちゃんって、似てるね」
その言葉に善は首を傾げる。ヒトとイヌが似ているとはどういうことだろう。コロマルは白いが陽介は茶色い。外見的には、似ているところはないように思える。
「……短剣が武器で、足が速いところ、か?」
辛うじて思いつくことが出来た共通点はそれくらいだった。けれどやはり、玲の思惑は違っていたらしい。
「それもあるけど、そういうところじゃなくて、ほら、ああいうところ」
玲が指した方に視線を向ければ、コロマルには理が、陽介には悠がそれぞれ労いの言葉を掛けていた。
「お疲れ様、コロマル」
「ワン!」
「流石だな、陽介」
「へへっ、これくらい任せとけって、相棒!」
応える一人と一匹が返す声には、誇らしさと自信と喜びが溢れている。陽介に尻尾があればきっとコロマルの様にぱたぱた振っているだろうし、コロマルが人の言葉を話せるのなら陽介と同じような事を言っているのだろう。そう見るものに思わせるには充分すぎるほど、彼らの反応はよく似ていた。
「……成程。玲の言う通りだな」
「だよね!」
良く見ているなと褒めると、玲はえへへとはにかんで笑う。
玲も少しあの二人に似ているかもしれない。そんなことを考えながら、善は玲の頭をふわりと優しく撫でた。
リクエストはありよしさんより。ありがとうございました!
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「シャドウ5体、来ますっ!」
風花の声に、最初に反応したのはコロマルだった。どこからともなく現れたシャドウたちを睨みつけ、空気を切り裂くように一声吠える。
蒼い燐光が走り、遠吠えに応えるように現れたのは、コロマルのペルソナだ。地獄の番犬の放つ業火はシャドウ達に容赦なく襲い掛かり、その大半を灰と化す。
――しかし。
「まだ残ってる!」
りせの警告が響くと同時、一体のシャドウが炎の中から飛び出してきた。
数が多かったせいか、全滅させるには到らなかったらしい。その身を焼かれながらも、シャドウは振りかぶった腕をコロマル目がけて叩きつけようとする。
「そうはさせるかよっ!」
同時、シャドウの仮面に、陽介の投げた苦無が深々と突き刺さった。
名状し難い断末魔を残し、シャドウの姿が掻き消える。風花とりせ双方から敵の気配が消えたことが告げられると、各々が武器を下ろし安堵の息を吐いた。
「はー、しぶてぇの。大丈夫だったかー、コロマル?」
「ワン!」
そんな前衛二人のやり取りを横目で見つつ、後衛に控えていた善も念のためにぐるりと周囲を見回し、それからようやくボウガンを下ろす。
そのタイミングを見計らったように、善のマントをついと玲が引いた。
「? どうした、玲」
「ねえ、善。コロちゃんと陽ちゃんって、似てるね」
その言葉に善は首を傾げる。ヒトとイヌが似ているとはどういうことだろう。コロマルは白いが陽介は茶色い。外見的には、似ているところはないように思える。
「……短剣が武器で、足が速いところ、か?」
辛うじて思いつくことが出来た共通点はそれくらいだった。けれどやはり、玲の思惑は違っていたらしい。
「それもあるけど、そういうところじゃなくて、ほら、ああいうところ」
玲が指した方に視線を向ければ、コロマルには理が、陽介には悠がそれぞれ労いの言葉を掛けていた。
「お疲れ様、コロマル」
「ワン!」
「流石だな、陽介」
「へへっ、これくらい任せとけって、相棒!」
応える一人と一匹が返す声には、誇らしさと自信と喜びが溢れている。陽介に尻尾があればきっとコロマルの様にぱたぱた振っているだろうし、コロマルが人の言葉を話せるのなら陽介と同じような事を言っているのだろう。そう見るものに思わせるには充分すぎるほど、彼らの反応はよく似ていた。
「……成程。玲の言う通りだな」
「だよね!」
良く見ているなと褒めると、玲はえへへとはにかんで笑う。
玲も少しあの二人に似ているかもしれない。そんなことを考えながら、善は玲の頭をふわりと優しく撫でた。
#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
笑子さん(@emiko8520)家の自宅主くん、月森文世くんをお借りしています。
リクエストは勿論のこと笑子さんより。ありがとうございました!
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「花村ー、DVD見ようぜー」
休日の真昼間、突然に鳴り響いたインターホンに玄関の扉を開けた俺を待っていたのは、まるで友人を野球に誘う某国民的アニメの登場人物のような台詞を吐く相棒の姿だった。
「またかよ月森……」
俺はそれをちょっとげんなりした表情で迎え入れる。
月森がレンタルショップで借りてきたDVDを持って俺の家に遊びに来るのは、これでもう三度目になるだろうか。
友人がこうして気兼ねなく家に遊びに来てくれるってのはなかなか嬉しいことではあるんだけど、俺にはそれを素直に喜べない理由が二つあった。
一つは、俺が最近こいつに対してちょっと友情飛び越えた想いを持ってしまっていること。
そして、もうひとつはこいつの選んでくる映画の系統である。
「自分の家で見りゃいいだろ……」
「馬鹿言うなよ、菜々子がうっかり見ちゃってトラウマになったらどうするんだよ。それにお前んちの方がテレビの画質いいし。悪いけどお願い、な?」
部屋に通しながら文句を言えば、そんな返答と共に借りてきたDVDを手渡された。盤面を何気なく見ると、予想通りというかなんというか、有名なホラーゲームの映画版タイトルが印字されている。
……そう。月森は大のホラー映画好きなのである。
これがアクションだったら俺も好きだし、雰囲気のいい恋愛ものとかならちょっとなんかいいカンジになったりしないかなーと思うのだが、流石にホラーでそれを求めるのは難しい。抱きついたり手を握ったところで、怖がってると思われて笑られるのがオチだ。
「去年やってたバイオの映画か……つーかまたゾンビものかよ。好きだね、お前」
「いーだろ、見たかったんだよ。最近やっと通常料金落ちしたんだ」
「新作とか準新作とか、なかなか落ちてこないよな」
「うん。新作の間は借りれる期間も少ないしな…… 沖奈まで即日往復とか嫌だし、少しでもレンタル期間は長い方が嬉しいんだけど」
やれやれと肩を竦める相棒に、俺は思わずあー、と同意の声を漏らした。家の近所にレンタルショップがあれば借りてすぐ見て即日返す、ということもできるが、沖奈くらいの距離があると流石にそれも億劫だ。そのためだけに使われる交通費やガソリン代も馬鹿にならない。
「確かに。こういうとこ不便だよなぁ、八十稲羽」
「これとコンビニに関しては都会が恋しい」
「わかる」
元・都会暮らしのあるあるに二人で頷いて笑いあい、俺は部屋のカーテンを閉めた。差し込んでいた日光が遮られ、代わりに部屋の中を影が埋める。
「さんきゅ」
「いーよ。この方が涼しいし」
ホラーは暗い所で見るのが月森のポリシーであるらしかった。
薄暗い部屋の中、隣に座ってテレビとプレステの電源を入れ、ディスクを挿入する。ぶぅん、という低い駆動音と液晶画面に映し出されるロゴ。何をするでもなくぼんやりとそれを見ていると、不意に月森が袖の端をつんと摘まんで引いた。
「……月森?」
突然の行動にどうかしたかと問いかけると、月森の目がにぃっと楽しそうに弧を描く。
「怖かったら抱きついてもいいよ、花村くん?」
「! ……抜かせ、そっちこそだろ!」
――本当に抱きついてやろうか。そうしたらどんな顔をするのだろうか。なんて。そんなことを頭の隅で考えるも、結局それは実行に移しきれない妄想でしかなく。
かくして今日も俺の部屋には、銃声とゾンビの断末魔が響くのだった。
笑子さん(@emiko8520)家の自宅主くん、月森文世くんをお借りしています。
リクエストは勿論のこと笑子さんより。ありがとうございました!
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「花村ー、DVD見ようぜー」
休日の真昼間、突然に鳴り響いたインターホンに玄関の扉を開けた俺を待っていたのは、まるで友人を野球に誘う某国民的アニメの登場人物のような台詞を吐く相棒の姿だった。
「またかよ月森……」
俺はそれをちょっとげんなりした表情で迎え入れる。
月森がレンタルショップで借りてきたDVDを持って俺の家に遊びに来るのは、これでもう三度目になるだろうか。
友人がこうして気兼ねなく家に遊びに来てくれるってのはなかなか嬉しいことではあるんだけど、俺にはそれを素直に喜べない理由が二つあった。
一つは、俺が最近こいつに対してちょっと友情飛び越えた想いを持ってしまっていること。
そして、もうひとつはこいつの選んでくる映画の系統である。
「自分の家で見りゃいいだろ……」
「馬鹿言うなよ、菜々子がうっかり見ちゃってトラウマになったらどうするんだよ。それにお前んちの方がテレビの画質いいし。悪いけどお願い、な?」
部屋に通しながら文句を言えば、そんな返答と共に借りてきたDVDを手渡された。盤面を何気なく見ると、予想通りというかなんというか、有名なホラーゲームの映画版タイトルが印字されている。
……そう。月森は大のホラー映画好きなのである。
これがアクションだったら俺も好きだし、雰囲気のいい恋愛ものとかならちょっとなんかいいカンジになったりしないかなーと思うのだが、流石にホラーでそれを求めるのは難しい。抱きついたり手を握ったところで、怖がってると思われて笑られるのがオチだ。
「去年やってたバイオの映画か……つーかまたゾンビものかよ。好きだね、お前」
「いーだろ、見たかったんだよ。最近やっと通常料金落ちしたんだ」
「新作とか準新作とか、なかなか落ちてこないよな」
「うん。新作の間は借りれる期間も少ないしな…… 沖奈まで即日往復とか嫌だし、少しでもレンタル期間は長い方が嬉しいんだけど」
やれやれと肩を竦める相棒に、俺は思わずあー、と同意の声を漏らした。家の近所にレンタルショップがあれば借りてすぐ見て即日返す、ということもできるが、沖奈くらいの距離があると流石にそれも億劫だ。そのためだけに使われる交通費やガソリン代も馬鹿にならない。
「確かに。こういうとこ不便だよなぁ、八十稲羽」
「これとコンビニに関しては都会が恋しい」
「わかる」
元・都会暮らしのあるあるに二人で頷いて笑いあい、俺は部屋のカーテンを閉めた。差し込んでいた日光が遮られ、代わりに部屋の中を影が埋める。
「さんきゅ」
「いーよ。この方が涼しいし」
ホラーは暗い所で見るのが月森のポリシーであるらしかった。
薄暗い部屋の中、隣に座ってテレビとプレステの電源を入れ、ディスクを挿入する。ぶぅん、という低い駆動音と液晶画面に映し出されるロゴ。何をするでもなくぼんやりとそれを見ていると、不意に月森が袖の端をつんと摘まんで引いた。
「……月森?」
突然の行動にどうかしたかと問いかけると、月森の目がにぃっと楽しそうに弧を描く。
「怖かったら抱きついてもいいよ、花村くん?」
「! ……抜かせ、そっちこそだろ!」
――本当に抱きついてやろうか。そうしたらどんな顔をするのだろうか。なんて。そんなことを頭の隅で考えるも、結局それは実行に移しきれない妄想でしかなく。
かくして今日も俺の部屋には、銃声とゾンビの断末魔が響くのだった。
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