#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
笑子さん(@emiko8520)家の自宅主くん、月森文世くんをお借りしています。
リクエストは勿論のこと笑子さんより。ありがとうございました!
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「花村ー、DVD見ようぜー」
休日の真昼間、突然に鳴り響いたインターホンに玄関の扉を開けた俺を待っていたのは、まるで友人を野球に誘う某国民的アニメの登場人物のような台詞を吐く相棒の姿だった。
「またかよ月森……」
俺はそれをちょっとげんなりした表情で迎え入れる。
月森がレンタルショップで借りてきたDVDを持って俺の家に遊びに来るのは、これでもう三度目になるだろうか。
友人がこうして気兼ねなく家に遊びに来てくれるってのはなかなか嬉しいことではあるんだけど、俺にはそれを素直に喜べない理由が二つあった。
一つは、俺が最近こいつに対してちょっと友情飛び越えた想いを持ってしまっていること。
そして、もうひとつはこいつの選んでくる映画の系統である。
「自分の家で見りゃいいだろ……」
「馬鹿言うなよ、菜々子がうっかり見ちゃってトラウマになったらどうするんだよ。それにお前んちの方がテレビの画質いいし。悪いけどお願い、な?」
部屋に通しながら文句を言えば、そんな返答と共に借りてきたDVDを手渡された。盤面を何気なく見ると、予想通りというかなんというか、有名なホラーゲームの映画版タイトルが印字されている。
……そう。月森は大のホラー映画好きなのである。
これがアクションだったら俺も好きだし、雰囲気のいい恋愛ものとかならちょっとなんかいいカンジになったりしないかなーと思うのだが、流石にホラーでそれを求めるのは難しい。抱きついたり手を握ったところで、怖がってると思われて笑られるのがオチだ。
「去年やってたバイオの映画か……つーかまたゾンビものかよ。好きだね、お前」
「いーだろ、見たかったんだよ。最近やっと通常料金落ちしたんだ」
「新作とか準新作とか、なかなか落ちてこないよな」
「うん。新作の間は借りれる期間も少ないしな…… 沖奈まで即日往復とか嫌だし、少しでもレンタル期間は長い方が嬉しいんだけど」
やれやれと肩を竦める相棒に、俺は思わずあー、と同意の声を漏らした。家の近所にレンタルショップがあれば借りてすぐ見て即日返す、ということもできるが、沖奈くらいの距離があると流石にそれも億劫だ。そのためだけに使われる交通費やガソリン代も馬鹿にならない。
「確かに。こういうとこ不便だよなぁ、八十稲羽」
「これとコンビニに関しては都会が恋しい」
「わかる」
元・都会暮らしのあるあるに二人で頷いて笑いあい、俺は部屋のカーテンを閉めた。差し込んでいた日光が遮られ、代わりに部屋の中を影が埋める。
「さんきゅ」
「いーよ。この方が涼しいし」
ホラーは暗い所で見るのが月森のポリシーであるらしかった。
薄暗い部屋の中、隣に座ってテレビとプレステの電源を入れ、ディスクを挿入する。ぶぅん、という低い駆動音と液晶画面に映し出されるロゴ。何をするでもなくぼんやりとそれを見ていると、不意に月森が袖の端をつんと摘まんで引いた。
「……月森?」
突然の行動にどうかしたかと問いかけると、月森の目がにぃっと楽しそうに弧を描く。
「怖かったら抱きついてもいいよ、花村くん?」
「! ……抜かせ、そっちこそだろ!」
――本当に抱きついてやろうか。そうしたらどんな顔をするのだろうか。なんて。そんなことを頭の隅で考えるも、結局それは実行に移しきれない妄想でしかなく。
かくして今日も俺の部屋には、銃声とゾンビの断末魔が響くのだった。
笑子さん(@emiko8520)家の自宅主くん、月森文世くんをお借りしています。
リクエストは勿論のこと笑子さんより。ありがとうございました!
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「花村ー、DVD見ようぜー」
休日の真昼間、突然に鳴り響いたインターホンに玄関の扉を開けた俺を待っていたのは、まるで友人を野球に誘う某国民的アニメの登場人物のような台詞を吐く相棒の姿だった。
「またかよ月森……」
俺はそれをちょっとげんなりした表情で迎え入れる。
月森がレンタルショップで借りてきたDVDを持って俺の家に遊びに来るのは、これでもう三度目になるだろうか。
友人がこうして気兼ねなく家に遊びに来てくれるってのはなかなか嬉しいことではあるんだけど、俺にはそれを素直に喜べない理由が二つあった。
一つは、俺が最近こいつに対してちょっと友情飛び越えた想いを持ってしまっていること。
そして、もうひとつはこいつの選んでくる映画の系統である。
「自分の家で見りゃいいだろ……」
「馬鹿言うなよ、菜々子がうっかり見ちゃってトラウマになったらどうするんだよ。それにお前んちの方がテレビの画質いいし。悪いけどお願い、な?」
部屋に通しながら文句を言えば、そんな返答と共に借りてきたDVDを手渡された。盤面を何気なく見ると、予想通りというかなんというか、有名なホラーゲームの映画版タイトルが印字されている。
……そう。月森は大のホラー映画好きなのである。
これがアクションだったら俺も好きだし、雰囲気のいい恋愛ものとかならちょっとなんかいいカンジになったりしないかなーと思うのだが、流石にホラーでそれを求めるのは難しい。抱きついたり手を握ったところで、怖がってると思われて笑られるのがオチだ。
「去年やってたバイオの映画か……つーかまたゾンビものかよ。好きだね、お前」
「いーだろ、見たかったんだよ。最近やっと通常料金落ちしたんだ」
「新作とか準新作とか、なかなか落ちてこないよな」
「うん。新作の間は借りれる期間も少ないしな…… 沖奈まで即日往復とか嫌だし、少しでもレンタル期間は長い方が嬉しいんだけど」
やれやれと肩を竦める相棒に、俺は思わずあー、と同意の声を漏らした。家の近所にレンタルショップがあれば借りてすぐ見て即日返す、ということもできるが、沖奈くらいの距離があると流石にそれも億劫だ。そのためだけに使われる交通費やガソリン代も馬鹿にならない。
「確かに。こういうとこ不便だよなぁ、八十稲羽」
「これとコンビニに関しては都会が恋しい」
「わかる」
元・都会暮らしのあるあるに二人で頷いて笑いあい、俺は部屋のカーテンを閉めた。差し込んでいた日光が遮られ、代わりに部屋の中を影が埋める。
「さんきゅ」
「いーよ。この方が涼しいし」
ホラーは暗い所で見るのが月森のポリシーであるらしかった。
薄暗い部屋の中、隣に座ってテレビとプレステの電源を入れ、ディスクを挿入する。ぶぅん、という低い駆動音と液晶画面に映し出されるロゴ。何をするでもなくぼんやりとそれを見ていると、不意に月森が袖の端をつんと摘まんで引いた。
「……月森?」
突然の行動にどうかしたかと問いかけると、月森の目がにぃっと楽しそうに弧を描く。
「怖かったら抱きついてもいいよ、花村くん?」
「! ……抜かせ、そっちこそだろ!」
――本当に抱きついてやろうか。そうしたらどんな顔をするのだろうか。なんて。そんなことを頭の隅で考えるも、結局それは実行に移しきれない妄想でしかなく。
かくして今日も俺の部屋には、銃声とゾンビの断末魔が響くのだった。
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