やすかわ(@yasuharuka)ん家の沢村くんと千枝ちゃん。主千枝。
多分3年後くらい。沢村 = 大学生、千枝ちゃん = 警察官でお送りします。
先に謝る。本当にごめんなさい。
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「ねぇねぇ、里中の彼氏って、すっごくカッコいいってマジで?」
「大学生なんでしょ? いいなぁ、羨ましい」
同僚たちのそんな言葉に、あたしは思わず少し引きつった笑いを浮かべた。
ああまたか、どこから情報漏れたんだろう――なんて、つい考えてしまう。人の口に戸なんか立てられないんだから、そんなこと考えるだけ無駄だけど。
『市民の安全を守る警察官』なんて偉そうなこと言ったって、みんな普通の人間だもの。恋愛くらいするし、他人の恋愛事情への興味は一般職種や学生さんと何ら変わることもない。
……というか、警察は割と職場結婚の多い職種なので、警察官以外の人と付き合っている、などと言ったら速攻で槍玉にあがるのが通例だったりする。ちょうど今の、あたしのように。
「……彼氏は確かにいるけど、そんなにかっこよくはないと思うよ?」
「嘘吐け、イケメンだって評判じゃん!」
「彼氏持ちはみんなそー言うんだよね! いいから写メかプリクラでも出しなさい持ってんでしょー!」
きゃんきゃんと吠えながら迫る同僚達を「今業務中だから! ほら仕事仕事、その辺の話はまた今度ね!」と無理矢理に話を打ち切って散らせる。
別れ際、今度会わせなさいよとか、あたしも彼氏欲しい! とか上げられた諸々の不満の叫びは苦笑でスルーして、それからぽつりと胸中で呟いた。
イケメン? まぁそう言われれば、そうかもね。
――だけど残念。あんたたちに沢村くんは、多分荷が重いよ。
***
「沢村くんさぁ、これでいいの?」
「これでいいのって、何、がっ!?」
ごんっ。
沢村くんの問い返しの言葉は、部屋中に響いたそんな鈍い音にかき消された。
一体何の音だって? そんなの決まってる、沢村くんの顔とフローリングの床の衝突音だ。ソファーに座ったあたしが、彼の頭を思いっきり上から踏みつけたからそんな音がしたのであって、何も不思議なことは無い。床にぺったり張り付いたまるい頭に右足をぽんと投げ出して、ソファーの背もたれにだらんと体重を預ける。
普通の人が見たらきっと何事だって言われるような光景だけど、これはあたしたちの日常風景。
あたしが振るってるのは理由のない暴力なんかじゃない。だってこれは彼の望みなんだから。
「久々に会って、彼女部屋に連れ込んでソファーに座らせてさ。その場で頭下げたかと思ったら、第一声が「踏んでくれ」とか。人としてなんか間違ってると思わない?」
足下、無様に床とキスをする彼氏に溜息を吐きながら、ぐりぐりと容赦なく踵で踏みつける。足裏で感じるさらさらの髪の感触が贅沢なような、勿体無いような、変な気分だ。
「だ、だってここのところご無沙汰だったし、会えると思ったら「踏まれたい!」という欲求が押さえきれなくて」
「喋って良いとは言ってないんだけど。延髄踏み抜かれたいの?」
「すみません女王様! でもそれはそれで本望です!」
威勢よく張り上げられた声には清清しいほど迷いが無い。
――あたしの彼氏、沢村一樹は。
整った顔と日本人離れした人目を引く色彩、均整の取れたスタイルを持ち、知識は広く、気も回り、運動神経もとても良い――、なんて、マンガみたいなとんでもないハイスペック人間だ。
個人的には、一際特徴的なのはその、日本刀の刃みたいな鋭い色をした目だ。あんな目でじっと見られたら、大抵の女の子は落ちるんじゃないかななんて思う。
……まぁ、その恋は、数日も立たないうちにそれはもう綺麗に、本人の手によって打ち砕かれると断言できるんだけど。
だって残念なことに、沢村くんはこの通り、そりゃもうびっくりするくらいのドMなので。
「……全く、相変わらずだねぇ、キミは」
感心半分呆れ半分で呟きながら肩を落とすと、沢村くんはくふ、とあたしの足の下で笑う。かっこよく笑ったつもりなんだろうけどこの状態だとただのギャグだよ? まぁわかっててやってるんだろうけど。
「残念だけど、これが俺なんで。嫌だったら、他の男を探せば良いだろう?」
顔を上げないままに落とされたその言葉の、挑発的な――でも、ほんの少しだけ窺うような声色に。思わず、あは、と乾いた笑いが漏れた。
「馬鹿だねぇ、沢村くん」
あたしはすっと彼の頭から足を退かす。ぴんと伸ばした爪先で彼の顎を拾い、上向けて。にやりと笑って、言ってやる。
「あたし以外の誰に、キミの相手がつとまると思うのよ?」
ねぇ? と首を傾げて問いかければ、きょとんと呆けた表情が、ふは、という気の抜けたような吐息とともに、楽しそうなものに変わった。
「……あっははははは! ふ、あはは! 千枝ってば、最高!」
そうして沢村くんは「あぁもう、ほんとに愛してる!」と熱烈な告白を飛ばしつつ、それはもう恭しく足の甲にキスなどしてくれましたので。
調子に乗るな、と。あたしは笑顔で、そのまま彼の横っ面を思いっきり蹴りとばした。
うっとりとした表情で呟かれたその言葉に、俺は思わず溜息を零した。
里中の言う「美味しいもの」が、ケーキとかだったら可愛かったし、突っ込む気など起こらないだろう。しかし残念ながらこいつの手に握られているのはどう見たって可愛らしさのかけらもない肉である。稲羽の住民なら多分みんな知ってる、固くてなかなか噛み切れないことで有名なビフテキ串が二本。その筋張った肉を苦も無く噛み切って次々と胃に収めていく姿は圧巻、まさに肉食獣の名に相応しかった。俺は、里中ほど肉を美味そうに食う女の子を他に知らない。ついでに言うなら、誕生日プレゼントに肉を要求する女の子も知らない。
一本目を軽く完食し、二本目を頬張りはじめる里中に
「ほんと、お前って色気より食い気だよな」
とぼやくと、じろりと睨みつけられた。
「悪かったわね。ていうかなんでそんなじっとこっち見てるのよ――あ、もしかして」
言いながら里中は、にんまりと悪戯な笑みを浮かべて。
「あんたも食べたかったりする?」
と、的外れなことを言いながら食べかけのビフテキ串を俺の目の前に差し出して見せた。(つーかそれ買ってやったの俺だろうが……)
表情から察するに、里中の意図はただのからかいだろう。続く言葉が「なんてね、あげないよ」だということは分かりきっている。
……ので。ちょっと意趣返しを仕掛けてやろうと思う。
俺は里中が口を開くその前に、先端の食べさしの肉に齧りつき、それを掠め取った。
え、と驚きに動きを止めた里中の前で、もぐもぐと咀嚼して飲み下す。ごっそーさんと一言呟いて、それからダッシュで逃げ出した。
暫くして、後ろからは、正気に返った里中の「待ちなさいよ!」と叫ぶ声。それを聞いてほくそ笑む。
――うん。これでいい。
お前が肉が好きなのは知ってるし、幸せそうなお前を見てるのもまぁ、いいんだけどさ。
それでも恋人としては、肉よりこっちに気を払ってほしいわけですよ。なんて。
……そんな俺の思惑は、恨みと照れ交じりの里中の飛び蹴りによって伝える間もなく意識の彼方へブラックアウトしたわけだけれど。
「なんでそんな事聞くの?」
「来週、菜々子の誕生日だって話を朝聞いたんですよ。それで、足立さんはいつなんだろうと気になって」
その言葉に、僕は首を傾げた。
「菜々子ちゃんは家族だからわかるけどさあ、僕の誕生日なんてキミが気にすることじゃなくない?」
他人の誕生日なんて知ったところで何一ついい事なんてないだろうにと呟くと、彼はゆっくりと首を横に振った。
「いえ、気になりますよ」
「なーに、もしかして祝ってくれるつもりなの?」
「はい」
「へ?」
冗談のつもりで言ったのに、迷わずに頷かれて面食らう。そんなの正直ありがた迷惑だ。
「えー……いいよそんなの。二十代後半にもなると、誕生日なんて嬉しくもなんともないもんだよ?」
できるだけやんわりと拒絶を示したが、けれど彼は臆することなく僕を見て、「俺が、祝いたいんですよ」と微笑んだ。
「生まれた日を祝うことは、『貴方に会えてよかった。出会ってくれてありがとう』って言うのと同じ事だと思うんです」
だから、俺は足立さんの誕生日を祝いたいんですよ。そう言った彼に、僕は困惑した。何その考え。キミ本当に高校生?
「僕はキミに対して、そんな大層な事をした覚えはないんだけど?」
「そんなことないです。菜々子と遊んでもらったり、料理食べてもらったりしてますから」
「大したことしてないじゃん」
「俺にとっては大したことです」
呆れ交じりの言葉を、彼は柳のようにのらりくらりとかわしていく。何を言っても聞きそうにないと悟った僕は、降参とばかり両手を挙げた。
「……本当に変な子だねえ、キミは」
肩を竦めてそう言うと、彼は「よく言われます」と目を細めた。褒めていないのに。と呟いた言葉は届いていただろうに、気にした様子はなかった。
「じゃ、ま、期待しないで待ってるよ」
「キャベツダンボール一箱位は期待してていいですよ?」
「えー、キャベツは好きだけどそんなにはいらないよ!」
……そうやって二人で笑いあったあの他愛もないやり取りを、彼はまだ覚えているのだろうか。
実弾入りの拳銃をくるくると掌中で玩びながら、赤と黒に彩られた空を仰いで独り呟く。
「……キミはこんなことになってもまだ、「僕に会えてよかった」とか言えるのかな」
まぁ、どんな答えが返ってきても、笑えないけどね。
聞く者のない道化た僕の独り言は、静かに霧の中に消えていく。
※具体的に言うとツンデレ成分減量、ガッカリ成分増量。
※3月までくっつかない
お笑いコンビ結成の瞬間
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陽「外見だけはビターマイルド、在原卯月!」
卯「外見だけは爽やかイケメン、花村陽介!」
二人「「しかしてその実態は、口を開けばガッカリ属性!二人あわせてガッカリ戦隊ルサンチマン!!」」
千「おたくら何やってんの?」
所詮ガッカリ二号
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卯「寂しいと死んじゃうよ!俺繊細だからね!(^з^)-☆」
陽「うわうぜえええ!その面やめろ!」
卯「だって俺兎だもん」
陽「兎ってんならお前の場合性欲旺盛の方だろーよ」
卯「花村になら、俺の初めて……あげても良いよ?」
陽「クマの口真似止めろ何か似てて腹立つ!」
「ガッカリ戦隊ルサンチマン ショートコント 「弁当」」
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陽「ねぇダーリン今日の昼御飯はなあに?(棒)」
卯「君の好きな竜田揚げだよハニー(棒)」
陽「うわマジで!超楽しみ!(素)」
卯「誰がお前の分あるって言ったよ(真顔)」
上の続き
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陽「で、在原。俺の分の弁当は?」
卯「……だから、お前の分があると言った覚えはないんだけど」
陽「ないと言われた覚えもねーよ?」
卯「……それくらいよく授業も聞いてれば良いのに。成績上がるぞ」
陽「や、授業にはあんま興味ねーから無理」
「ガッカリ戦隊ルサンチマン ショートコント 「弁当2」」
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陽「ねぇダーリン今日の昼御飯はなあに?(棒)」
卯「プリン(真顔)」
陽「……へ?(素)」
卯「だから、プリン。今日のはお前の分、ちゃんとあるぞ。重箱1段分な(真顔)」
付き合って一ヶ月
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一「ガッカリブラザーズ呼ばわりは嫌だというので別の名称を考えた」
卯「今度はまともだろうな」
一「おう。これからお前らはガッカリブラザーズ改め、ガッカリ夫婦だ」
陽「余計酷くなってる!?」
長「だってお前ら最近夫婦漫才やってるから」
卯「あらやだ夫婦だなんて!私達まだ清い関係なのに!」
陽「お前も乗るなっ!」
多分花村さんは大きい方
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陽「あー、バイク欲しい……密着作戦実行したい……」
卯「ちなみに花村は大きいのと小さいのどっちが好み?」
陽「!?」
卯「俺は小さいほうかな、かわいいよな」
陽「!あー、そっか!ひっかからねえぞ!バイクの話だよな!?」
卯「いや、胸の話」
陽「オープンだなお前!!」
暇を持て余した男子高校生達の遊び
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陽「しりとりしようぜ!最初俺ね。ジライヤ!」
卯「焼き豆腐」
陽「おま…まあいいや、蓋」
卯「玉子豆腐」
陽「冬!」
卯「湯豆腐」
陽「…っ、フラスコ」
卯「高野豆腐」
陽「沸騰」
卯「卯の花」
陽「ナス!」
卯「純豆腐(スンドゥブ)」
陽「部下」
卯「固豆腐」
陽「頼むからいい加減豆腐から離れたげて!(涙目)」
そして愚者はそのまま神に挑む
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陽「…」
卯「なんだ花村。いくら俺がイケメンだからって凝視すんなよ照れるだろ?」
陽「ちっげーよ!そーじゃなくて、お前の武器!どこからんなもん持ってきたんだよ、バス停とか…」
卯「あー、釣った」
陽「釣っ…!?」
卯「何か妙に手に馴染むから、暫く俺これで行くわ」
陽「マジか…」
実は馬鹿力(上の続き)
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陽「世の中の番長さん達がかっこよく刀振り回すなかでバス停って…」
卯「メタい発言すんな。良いだろ別に。俺は少し重い武器のが好みなの」
陽「それ多分少しって次元の重さじゃねーんだけど!」
卯「完二と同レベルの力パラメータ舐めんなよ。お前をお姫様抱っこして商店街走り抜けてやろうか」
陽「止めて!」
一月くらいの話【花主】
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【卯月サイド】
「在原ぁ、そろそろ俺より特別な人できた?」
「残念ながらまだ」
そっかー、と返る声は暢気なものだ。全く人の気もしらないで。
お前が一緒にいる限り、お前以上に好きな人なんかできないよ。
「ごめんな」
幽かに呟いた声は、震えていた。ごめん、花村。きっと俺は、お前の手を離してやれない。
【陽介サイド】
「在原ぁ、そろそろ俺より特別な人できた?」
「残念ながらまだ」
そっかー、と返した声に安堵が混ざっていたことに、あいつは気付いただろうか。
肩書きだけの恋人なんて立場は、もう限界で。本当の恋人になりたいと思うのに、でも。
臆病者の俺は未だ、緩く繋いだ手を強く握ることさえ出来ないでいる。
とりっくおあとりーと
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卯「今日はハロウィンだな」
陽「……そーだな」
卯「というわけで花村、トリックオアトリートオア俺!」
陽「おい待て最後明らかにおかしいぞ!?何「お風呂にする?ごはんにする?それとも私?」みたいなノリで言ってんの!?」
卯「二択だとつまんないかと思ったのでワンモアしてみた」
陽「んな気遣いいらねーよ!」
ガッカリ夫婦の日常会話
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陽「蜂蜜」
卯「ヨーグルト」
陽「うなぎパイ」
卯「それ肩書きだけだろ。生クリーム」
陽「そっちこそヨーグルトと一緒だろ。桃」
卯「甘いな花村。十分立てにすれば差別化が可能だ。バナナ」
陽「分かるけど止めろ萎える」
完「先輩方何してんスか。おやつの相談?」
二人「いや、若干エロい響きの食べ物で古今東西」
完「…」
褒めて落として
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卯「花村ってイケメンだよな」
陽「お?」
卯「顔は美形だし体型すらっとしてるし、人当たりもいいし」
陽「な、何。褒めても何も出せねーぞ!?」
卯「背中に値札貼られてる事に気付けばもっと格好いいけど」
陽「!?」
卯「いつ気付くかと思ってたのに。198円とはお安いなお前w」
陽「てめ早く教えろよおおおお!」
俺の相棒がこんなに男前なわけがない
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卯「花村、明日の朝デートしない?」
陽「ジュネスに?」
卯「…なんだ。お見通しか」
陽「卵お一人様1パック98円狙いだろ? あれ、でも、菜々子ちゃんは?」
卯「明日は友達と遊ぶんだって。で、どう? ちゃんとお礼はするけど」
陽「いらねーよ」
卯「え、でも」
陽「馬鹿。デートに見返り要求する恋人がいるかっつーの」