#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストは観月さんより。ありがとうございました遅くなってごめん!
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「おぉい、一期ー」
背に掛けられた己を呼ばわる声と開いた障子の音に、部屋の中にいた弟たちの視線が全て己の後ろに向けられた。
それに一拍遅れて振り返った一期の視界に入ったのは、まぶしいくらいの真っ白なひとだ。
「鶴丸殿。如何いたしましたか?」
何か御用でしょうかと問いかけると、鶴丸は少し申し訳なさそうに形の良い眉を下げた。
「主殿が呼んでるぜ。次の出陣について相談があるんだそうだ。弟君たちと遊んでいるとこ申し訳ないが、一寸来てくれないか」
「承知致しました、すぐ参ります!」
主の命なら否やはない。立ち上がり、こちらを見上げる弟たちに「すまない、行ってくるよ」と言えば、弟たちは満面の笑みで行ってらっしゃいと手を振り、送り出してくれた。彼らに軽く手を振ってから障子を閉め、一期は先行する鶴丸の背を追いかける。隣に並んだところで、それにしても、と鶴丸がぽつり呟いた。
「君は見つけやすくて助かるなぁ」
「そうでしょうか?」
「そうさ。弟君たちの声を追えば大体君がいる。そうでなくても、目立つナリをしているからな」
「それは、鶴丸殿には言われたくないですな」
自分の色彩が派手であることは認めるが、白一色の方がよほど目立つだろう。そう思って反論すれば、鶴丸はそうか? と首をかしげた。
「君ほどじゃないと思うがな。例えば雪原とかにいればほら、目立たないだろう、たぶん」
随分と限定された例に、思わず一期は軽く吹きだす。
「はは、それはそうかも知れませんな」
「だろう?」
そう言ってにっと笑う鶴丸に、けれど、と一期は言葉を続ける。
「雪如きが、あなたの存在感を隠せるとは思いません」
それに鶴丸は、ぱちりと瞬きを一つ。
「それじゃあ君は、一面の白の中でも俺を見つける自信があると?」
「ありますよ。必ず見つけて差し上げます」
その、一期の即答に。
「……そうか。じゃあ、見つけられて驚く日を楽しみにしてるぜ」
鶴丸は金色の双眸を緩め、どこか嬉しそうに小さく笑った。
リクエストは観月さんより。ありがとうございました遅くなってごめん!
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「おぉい、一期ー」
背に掛けられた己を呼ばわる声と開いた障子の音に、部屋の中にいた弟たちの視線が全て己の後ろに向けられた。
それに一拍遅れて振り返った一期の視界に入ったのは、まぶしいくらいの真っ白なひとだ。
「鶴丸殿。如何いたしましたか?」
何か御用でしょうかと問いかけると、鶴丸は少し申し訳なさそうに形の良い眉を下げた。
「主殿が呼んでるぜ。次の出陣について相談があるんだそうだ。弟君たちと遊んでいるとこ申し訳ないが、一寸来てくれないか」
「承知致しました、すぐ参ります!」
主の命なら否やはない。立ち上がり、こちらを見上げる弟たちに「すまない、行ってくるよ」と言えば、弟たちは満面の笑みで行ってらっしゃいと手を振り、送り出してくれた。彼らに軽く手を振ってから障子を閉め、一期は先行する鶴丸の背を追いかける。隣に並んだところで、それにしても、と鶴丸がぽつり呟いた。
「君は見つけやすくて助かるなぁ」
「そうでしょうか?」
「そうさ。弟君たちの声を追えば大体君がいる。そうでなくても、目立つナリをしているからな」
「それは、鶴丸殿には言われたくないですな」
自分の色彩が派手であることは認めるが、白一色の方がよほど目立つだろう。そう思って反論すれば、鶴丸はそうか? と首をかしげた。
「君ほどじゃないと思うがな。例えば雪原とかにいればほら、目立たないだろう、たぶん」
随分と限定された例に、思わず一期は軽く吹きだす。
「はは、それはそうかも知れませんな」
「だろう?」
そう言ってにっと笑う鶴丸に、けれど、と一期は言葉を続ける。
「雪如きが、あなたの存在感を隠せるとは思いません」
それに鶴丸は、ぱちりと瞬きを一つ。
「それじゃあ君は、一面の白の中でも俺を見つける自信があると?」
「ありますよ。必ず見つけて差し上げます」
その、一期の即答に。
「……そうか。じゃあ、見つけられて驚く日を楽しみにしてるぜ」
鶴丸は金色の双眸を緩め、どこか嬉しそうに小さく笑った。
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#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストはありよしさんより。ありがとうございました!
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その刀剣男子は、一見すると短刀のような容姿をしていた。
陽光に輝く銀糸の髪に、橄欖石のような美しい眼の色。多分に幼さを残したその面差しは、愛らしささえ感じられる。
端的に言えば非常に可愛らしい。素直な感想としてそれを伝えると、彼はその大きな目を、猫のように細めて嬉しそうに笑って見せた。
「褒めてくれてありがとう、でもね」
――そして、一瞬の後。
目にも留まらぬ早業で抜かれた刀の切っ先が、己の喉元に突きつけられる。
「だからって舐めてもらっちゃ、困るよ?」
突きつけられた刀の長さは、優に三尺を越える。
突然の事態に思わず息を詰めた己を一瞥すると、少年はすぐにその大太刀を苦も無く背に負った鞘に納め、悪戯に笑った。
「僕の名前は、蛍丸。これでも三尺三寸ちょっとの大太刀なんだ。これからよろしくね、主様?」
リクエストはありよしさんより。ありがとうございました!
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その刀剣男子は、一見すると短刀のような容姿をしていた。
陽光に輝く銀糸の髪に、橄欖石のような美しい眼の色。多分に幼さを残したその面差しは、愛らしささえ感じられる。
端的に言えば非常に可愛らしい。素直な感想としてそれを伝えると、彼はその大きな目を、猫のように細めて嬉しそうに笑って見せた。
「褒めてくれてありがとう、でもね」
――そして、一瞬の後。
目にも留まらぬ早業で抜かれた刀の切っ先が、己の喉元に突きつけられる。
「だからって舐めてもらっちゃ、困るよ?」
突きつけられた刀の長さは、優に三尺を越える。
突然の事態に思わず息を詰めた己を一瞥すると、少年はすぐにその大太刀を苦も無く背に負った鞘に納め、悪戯に笑った。
「僕の名前は、蛍丸。これでも三尺三寸ちょっとの大太刀なんだ。これからよろしくね、主様?」
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リクエストは観月さんより。ありがとうございました!
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ぴいぃ、と高く鳥の声がする。
その声に、三日月宗近はふとその面を上げた。
今のは何の鳥の鳴き声であろうか。遠い昔に聞いたことのあるような、そうでないような。
取り留めもなく考えながら、三日月はてくてくと歩を進める。目的地はこれといってない。ただ、気の向くままに歩いているだけだ。
三日月は、散歩が好きである。
己が足で大地を踏みしめ、美しい山野の景色を眺め、風の音を聞き、その中に季節の匂いを嗅ぎ取る。
五感の全てで世界を感じる。そのことが、とてつもなく面白く、そして嬉しいことであるからだ。
刀として創り出された己には、生涯出来ないと思っていたことが出来る。
人の身体を与えられたのは「歴史修正主義者と戦う」という理由に寄るものだけれども、それでもこの体験は悪くない。
「ふふ、長生きはするものよ」
小さく笑うと、どこかでまた鳥が鳴いた。
「善哉、善哉」
↓↓↓一方そのころの本丸↓↓↓
「おいまた三日月爺いなくなってんぞ!?」
「えっ嘘!?」
「そんな馬鹿な、だってGPSの反応は本丸内に……!」
「部屋に置き去りにされてた」
「あの爺あれほど持ち歩けと言ったのに!!!」
「探せ、そう遠くへは行っていないはずだっ!!!」
リクエストは観月さんより。ありがとうございました!
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ぴいぃ、と高く鳥の声がする。
その声に、三日月宗近はふとその面を上げた。
今のは何の鳥の鳴き声であろうか。遠い昔に聞いたことのあるような、そうでないような。
取り留めもなく考えながら、三日月はてくてくと歩を進める。目的地はこれといってない。ただ、気の向くままに歩いているだけだ。
三日月は、散歩が好きである。
己が足で大地を踏みしめ、美しい山野の景色を眺め、風の音を聞き、その中に季節の匂いを嗅ぎ取る。
五感の全てで世界を感じる。そのことが、とてつもなく面白く、そして嬉しいことであるからだ。
刀として創り出された己には、生涯出来ないと思っていたことが出来る。
人の身体を与えられたのは「歴史修正主義者と戦う」という理由に寄るものだけれども、それでもこの体験は悪くない。
「ふふ、長生きはするものよ」
小さく笑うと、どこかでまた鳥が鳴いた。
「善哉、善哉」
↓↓↓一方そのころの本丸↓↓↓
「おいまた三日月爺いなくなってんぞ!?」
「えっ嘘!?」
「そんな馬鹿な、だってGPSの反応は本丸内に……!」
「部屋に置き去りにされてた」
「あの爺あれほど持ち歩けと言ったのに!!!」
「探せ、そう遠くへは行っていないはずだっ!!!」
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リクエストは蔦さん(つがるさん)より。ありがとうございました!
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ぽつん、と鼻先に、突然水滴が落ちてきた。
それにつられるように空を仰ぐ。視界を埋め尽くすのは澄んだ青色、今日は雲一つない晴天だ。
眩い日の光に目を細めながら、小狐丸ははて、と首を傾げた。
「そんなところで何してるんだい、小狐丸」
不意に、背中に声が掛けられる。良く聞き知るその声は、彼の主こと審神者のものだった。
「あぁ、これはぬしさま。いえ、このような陽気であるというのに、どこかから雨粒が落ちてきたようでして」
「雨?」
審神者が小狐丸と同じように空を見上げた瞬間、再び水が落ちてきた感触がした。今度は手だ。
「ほら、また」
小狐丸が差し出した手に水滴を認めた審神者は、あぁ、成程と一つ頷く。
「狐の嫁入りか」
聞き慣れない単語に、小狐丸はこてんと首を傾げた。
「きつねの、よめいり? 私はどこにも輿入れの予定はありませんが……はっ、もしやこんのすけ殿か鳴狐殿が!? それは目出度い!」
「ぶふっ」
「……? ぬしさま、突然どうかいたしましたか、蹲ってしまわれて。御気分でも優れませんか?」
「いや気にしないで、その発想は無かっただけだから」
リクエストは蔦さん(つがるさん)より。ありがとうございました!
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ぽつん、と鼻先に、突然水滴が落ちてきた。
それにつられるように空を仰ぐ。視界を埋め尽くすのは澄んだ青色、今日は雲一つない晴天だ。
眩い日の光に目を細めながら、小狐丸ははて、と首を傾げた。
「そんなところで何してるんだい、小狐丸」
不意に、背中に声が掛けられる。良く聞き知るその声は、彼の主こと審神者のものだった。
「あぁ、これはぬしさま。いえ、このような陽気であるというのに、どこかから雨粒が落ちてきたようでして」
「雨?」
審神者が小狐丸と同じように空を見上げた瞬間、再び水が落ちてきた感触がした。今度は手だ。
「ほら、また」
小狐丸が差し出した手に水滴を認めた審神者は、あぁ、成程と一つ頷く。
「狐の嫁入りか」
聞き慣れない単語に、小狐丸はこてんと首を傾げた。
「きつねの、よめいり? 私はどこにも輿入れの予定はありませんが……はっ、もしやこんのすけ殿か鳴狐殿が!? それは目出度い!」
「ぶふっ」
「……? ぬしさま、突然どうかいたしましたか、蹲ってしまわれて。御気分でも優れませんか?」
「いや気にしないで、その発想は無かっただけだから」
#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストは観月さんより。ありがとうございました!
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薬研藤四郎、またの名を薬研通吉光。
硬い薬研を貫き通すだけの鋭さ、強さを持ちながらも、主人の命を奪うを良しとせず、傷一つ付けなかったという逸話を持つその刃に宿るその御霊は、うつくしい少年の姿をしていた。
黒曜の髪に白皙の肌、紫水晶の瞳。すらと伸びた四肢は細く、儚さすら感じられる。
けれど、彼は紛うことなく『薬研藤四郎』そのものであった。
敵と相対すれば臆することなく疾風の如き速さで懐へと飛び込み、一片の迷いも慈悲もなく一息に、その急所を貫き息の根を止める。
あの細い身体のどこにそんな力があるのかと思う程に激しい気を吐いて、薬研藤四郎は戦場を駆ける。その働きは、太刀や大太刀にも引けを取らぬものであった。
けれど、ひとたび戦場を離れると、薬研への評価はがらりと変わる。
本丸での彼は、常に飄々と、しかし泰然とした態度を崩すことなく在る。けれど決して他者を拒んでいるわけではなく、寧ろ進んで面倒を見る、いわば兄貴分のような存在だった。医術の心得も持ち合わせており、彼を頼りにするものは刀剣の種類を問わず多い。
儚い容姿に折れぬ心と類なき強さ。
烈火の如き苛烈さと、全てを受け入れる大地のような度量の広さ。
人にも物事にも様々な面があるとは知っているし理解しているけれども、薬研ほど多くの面を持つ存在を見たことはなかった。
「薬研はなんていうか、すごいよねえ。アンバランスが重なって綺麗にバランスとってるというか」
感嘆混じりの溜息と共にそう呟くと、近侍である薬研の兄、一期一振はくすりと小さく笑った。
リクエストは観月さんより。ありがとうございました!
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薬研藤四郎、またの名を薬研通吉光。
硬い薬研を貫き通すだけの鋭さ、強さを持ちながらも、主人の命を奪うを良しとせず、傷一つ付けなかったという逸話を持つその刃に宿るその御霊は、うつくしい少年の姿をしていた。
黒曜の髪に白皙の肌、紫水晶の瞳。すらと伸びた四肢は細く、儚さすら感じられる。
けれど、彼は紛うことなく『薬研藤四郎』そのものであった。
敵と相対すれば臆することなく疾風の如き速さで懐へと飛び込み、一片の迷いも慈悲もなく一息に、その急所を貫き息の根を止める。
あの細い身体のどこにそんな力があるのかと思う程に激しい気を吐いて、薬研藤四郎は戦場を駆ける。その働きは、太刀や大太刀にも引けを取らぬものであった。
けれど、ひとたび戦場を離れると、薬研への評価はがらりと変わる。
本丸での彼は、常に飄々と、しかし泰然とした態度を崩すことなく在る。けれど決して他者を拒んでいるわけではなく、寧ろ進んで面倒を見る、いわば兄貴分のような存在だった。医術の心得も持ち合わせており、彼を頼りにするものは刀剣の種類を問わず多い。
儚い容姿に折れぬ心と類なき強さ。
烈火の如き苛烈さと、全てを受け入れる大地のような度量の広さ。
人にも物事にも様々な面があるとは知っているし理解しているけれども、薬研ほど多くの面を持つ存在を見たことはなかった。
「薬研はなんていうか、すごいよねえ。アンバランスが重なって綺麗にバランスとってるというか」
感嘆混じりの溜息と共にそう呟くと、近侍である薬研の兄、一期一振はくすりと小さく笑った。