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書き散らかしたもの置き場
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#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
手前味噌で申し訳ないですが、拙作の「10年後のふたり」シリーズの設定を使用しています。
リクエストはとうこさんより。ありがとうございました!
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 互いに恥ずかしい告白を交し合って二週間、それは突然に訪れた。
「デートしませんか、里中さん」
「……へ」
 日課となった寝る前の電話のやり取りで、花村の口から発されたその一言にあたしの頭は真っ白になった。
「いや、そろそろ盆が近いから夏休み取るんだ。折角だからどっか遊びに行かね?」
「え、あ」
「……仕事忙しい?」
「え、えっと、あたしは夏休みお盆とずれちゃうから遠出とかは難しいけど、ふつーの休みはちゃんとあるから、大丈夫!」
 慌ててそう答えると、電話の向こうで花村の笑う声がする。
「そっか。そんじゃ沖奈にでも行こうぜ。こっちの夏休み期間あとでメールすっから、都合のいい日折り返してくれ」
「わ、わかった!」
「へへ、楽しみにしてる。そんじゃおやすみ、里中」
「う、うん。花村もおやすみー」
 挨拶を交わしあって、ぷつんと通話が切れる。携帯の画面を見ながら、しばし放心。

 デートって。
 あたしと、花村が?

 頭の中で復唱すると、なんだか今更ながらにデートという単語が重みを持ってくる。なにこれ、すっごく顔が熱い。
 得体の知れない謎の気恥ずかしさに、あたしは思わずベッドの上でごろんごろんと転がる羽目になったのだった。
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「なんで男女の性差が元々あんのに、αだのΩだのまであるんかなぁ」
「俺はそれを人間という種の危機感が生み出したものだと考えている」
「……はぃ?」
「自然の営みに任せては、種として生き残れないと感じたんじゃないか」
「誰が」
「さぁ。神様か、それとも人間の種の本能という奴か」
「なんかいきなり変な話になったな……」
「だって考えてもみろ。αとΩのつがい関係とかって、露骨にあれだろ、αの優秀な遺伝子を何としてでも残そうとする仕組みだろ」
「まぁ、うん」
「優秀な遺伝子が多く次代に継がれれば、人間という種はその分強くなっていく。その強化の手段として、何者かの意志によって繁殖という観点において進化した人間・αとΩが生まれたと考えればそれなりに納得がいかないか?」
「えーと。αとΩは、俺たちβとはそもそも違う、ってこと?」
「可能性はある。今は比率少ないけど、そのうち増えてきたら新たなヒト属として明確に区別され始めるかもな」
「……そしたらβも、今のΩみたいに虐げられたりすんのかな」
「まぁ、αの比率がβに近づいたらそうなるかもな。ただ、そうなるとしてもまだまだ先の話だ。優秀な遺伝子同士が、互いの食い合いをはじめないとも限らないわけだし……というかこれ、そもそも全部机上の空論だって」
「……だからなんでお前αじゃねーの……?」
「さぁ?」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「しかし、なんでΩなんだろ?」
「突然どうした」
「いや。αとβはわかるんだ。一番最初と次だから。でもさ。なんでそこでいきなりΩまで飛ぶのかなと。良く知らないけど、Ωって最後なんだろ?」
「そんなこと言ったら血液型だってABOじゃないか」
「あ、そっか。ABO……」
「あるふぁ、べーた、おめが……?」
「あ」
「あ」
「それか!」
「それかも」
「やべぇすげぇ! なんか大発見した気分!」
「でもOって他にオミクロンってあるけどな?」
「あれ!?」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「まぁ、なんだ」
「うん」
「優れた遺伝子持ってるわけじゃなし、そもそも子供作れないけど、これからもよろしく」
「あはは、それこっちのセリフだぜ相棒」
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3955220 の蛇足的おまけ。花主なんだか主花なんだか。
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■□■ おまけ 午後15時00分 ■□■ 

 一連の騒ぎの後、コタツを4人で囲み、相棒と菜々子ちゃんお手製のプリン(案の定絶品でした、ごちそうさまです)を仲良く食べていると、唐突にクマがぐいぐいと俺の腕を引っ張った。
「ねえねえヨースケお兄ちゃん! クマねー、さっきすっごく良いこと考えたの!」
 未だ耳慣れないお兄ちゃん呼びに、少しばかり首の後ろが痒くなる。決して不快な訳ではないのだが、どうしても照れくさい。平然と聞き流せるようになるには、まだ時間が必要そうだ。
「だから呼び方はヨースケのままでいいっての。で、何考えたって?」
 プリン寄越せとかだったら聞かねぇぞとスプーンを咥えながら呟くと、クマはそうじゃないと首を横に振って、満面の笑みでその「良いこと」を口にした。
「あのね、センセイとヨースケ、ケッコンすればいいと思う!」
「!?」
 クマのとんでもない発言に思わずげほごほと噎せ返る。プリンで噎せるとか我ながら器用だなとか頭の隅で冷静な俺が笑った。うるせえよ。
「うわ、ヨースケ汚いー」
「おめーのせいだろ! 何言い出すんだよいきなり!?」
「だってー。クマ、ナナチャンがイモウトに欲しいんだもん! だからセンセイとケッコンして!」
「それとこれとなんの関係があんだよ!?」
 脈絡のない話に悲鳴を上げると、今までクマと俺の遣り取りを静観していた悠が唐突にぽん、と手を叩いた。
「……ああ、なるほど。俺と菜々子が兄妹で、陽介とクマも兄弟だから、俺達がくっつけばクマと菜々子も兄妹になると、そういうことか?」
「そういうことクマー! さっすがセンセイ話が早い!」
「あぁ、そういうこと……て違うわ! 結婚つったら男女だろ! この場合俺の相手は悠じゃなくてなな」
「! ヨースケ、それ以上は言っちゃ駄目!」
 言い切る前に、慌てた様子のクマに両手で思い切り口を塞がれた。いきなり何すんだ、と文句を言いそうになったが、その一瞬後。隣からテレビの中でさえ感じた事の無いような殺気を感じ取ったことで、クマが俺の命を救ってくれたことに気づく。
 そうでした。俺の相棒は、手遅れレベルのナナコンでした。
 恐る恐る悠の方を振り返れば、奴は今まで見たこともないような満面の笑みを浮かべていた。つう、と背中に冷たい汗が流れる。正直今すぐ逃げたいが、残念ながら蛇に睨まれた蛙よろしく俺の全運動神経はフリーズ状態に陥ってしまっていた。震えることすら出来やしねえ。
 悠は笑顔を崩さないまま、口を開く。但し其処から漏れ出た声は、地を這うように低かった。
「……陽介。散り様は選ばせてあげるよ。1、チャージ八艘、2、コンセメギドラオン、3、ハマ成功率UP+回転説法、4、ムド成功率UP+死んでくれる?、5、デビルスマイル+亡者の嘆き。さあ、どれがいい?」
「それ選択肢じゃねえ選択死だ!! どうあがいても絶望じゃねえか!!」
 本気の殺意に本能が危機を感じたのか、どうにかフリーズ状態からは脱出することに成功した。
 例え話にマジになるんじゃねえこのナナコンめと罵ってみるが、逆に菜々子が可愛いのは事実だそして世界の真理だ何が悪いと返されて反論の気力が失せた。開き直るから性質が悪い。いやまあ菜々子ちゃんが可愛いのは確かだけどさ。
「ていうか、それじゃ駄目なんだクマ。それだとナナチャンがクマのオネエサンになっちゃう。だからセンセイとヨースケがくっついてくれないと」
「あー、そうですか……」
 クマ的にもそこは譲れないポイントであるらしい。まあ、可愛がりたくて妹に欲しいって言ってるんだろうから当たり前か。
 と、そこで今まで呆然と事態を見守っていた(というかあまりの展開に置いて行かれてたんだろうな……ごめん)菜々子ちゃんが、ええと、と少し照れたように首を傾げた。
「ようすけお兄ちゃんとクマさんも、菜々子のお兄ちゃんになってくれるの?」
「そうクマよー!」
「良かったな、菜々子」
「うん、うれしい!」
 三人がほのぼのと微笑む。ああなんか、仲の良い親子の光景を見ているみたいだ。何これ楽園? ……じゃなくて!
「いやいやいやいやだから待って! 何平然と話進めてんだよ! いや菜々子ちゃんのお兄ちゃんには俺もなりたいけども!」
「だったら問題ないクマね!」
「ようすけお兄ちゃんに、クマお兄ちゃん! あはは、菜々子のお兄ちゃん、いっぱいだー!」
 俺の叫びも何処吹く風、クマと菜々子ちゃんは嬉しそうにきゃあきゃあとはしゃぐ。いや、すごく可愛い光景なんですけどね。なんか複雑!
 ああもう、と溜息を吐きながら横に座る相棒に視線を遣れば、奴は至って真面目な顔でうんうんと頷いていた。
「陽介と結婚したらクマが弟になるのか。悪くないな。可愛いし」
 ……駄目だこいつもなんか頭のネジ外れてる。というか多分、俺をからかうことしか考えてない。
「お前なー……悪ノリもいい加減にしろよ。常識的に考えてねーだろ、野郎同士で結婚とか」
 がりがりと頭を掻きながら、それでも一応ツッコミを入れてみる。俺も充分リアクションを返しているし、普段通りならこの辺で飽きて引くはずだと思ったからだ。
 ――だがしかし。俺の読みは斜め上の方向に外された。
「そう?」
「……へ?」
 相棒からの同意の言葉はなく、それどころか真顔のままで
「俺は相手が陽介だったら、旦那さんになっても嫁さんになっても良いと本気で思ってるけどな」
 ――メギドラオン級の爆弾を落としてくれやがりました。
 え、ちょ、なにそれどういうこと?
 軽くパニックに陥る俺の内心など知った事じゃないとでも言うように、悠は俺に向かってずい、と身を乗り出してきた。至近距離から見つめてくる深い銀色の輝きに、心の奥底が曝け出されるような錯覚に捕らわれる。
「陽介は、俺が相手じゃ嫌?」
 蠱惑的に微笑むその表情に目を奪われる。我知らず、ごくりと喉が鳴った。
「俺……は……」
 お前の、こと、
 熱に浮かされた様に、心中に浮かんだ言葉を伝えようと口を開きかけ――
「おお!? センセイとヨースケ、良い雰囲気? 良い雰囲気? チッスするクマ?」
 瞬間、クマの脳天気な声が俺を現実に引き戻した。
「……っ! しねーよ馬鹿クマ!!」
 ちょっと待て今俺は何を考えかけた。ねーよ。色々と! 自らの有り得ない思考回路に突っ込みを入れながら、クマの頭に手刀を落とす。痛いだなんだと喚いているが、菜々子ちゃんをびっくりさせるといけないからちゃんと手加減はした、有難く思え!
 そしてそのまま返す刀で再び相棒に向き直り、びしっと人差し指を突きつける。
「相棒もこれ以上の悪ノリ禁止! そーいうのは女の子にやりなさい!! 一発で落とせるから!! 保証してやるから!!」
「はいはい。ふざけ過ぎましたごめんなさい」
 ……笑いながら言われても、反省しているんだかしてないんだか。まあ、一応謝罪の言葉は引き出したので良しとしておく……というか、これ以上は俺のハートが保たない。
「わかりゃいーんだよ。はい、じゃこの話はお終い!」
 俺は胸中のもやもやを追い出すように、わざと大きな溜息を吐いて、ぎゅっと強く目を瞑った。

 ――ああそうだよ。分かってる。これはおふざけだ。冗談だ。
 だから小さく呟かれた「もう少しだったのに、残念」なんてあいつの呟きは、これっぽっちも耳に入ってなんかいねーし、それに不自然に心臓が跳ねたりなんか、してねえんだからな!
『やったな陽介、家族が増えるぞ!』
 なんて。どっかで聞いたような不穏なセリフを吐きながらその日ご主人が連れてきたのは、まるで夜空中のお星さまを集めたような、きらきらした銀色の毛皮を持った兎だった。
『あんまりにもきれいで、一目惚れしちゃって。飼うことにしちゃった』
「買うことにしちゃったって。俺がいるのに」
『悠、って名前を付けたんだ。いじめるなよ、陽介?』
「いじめたりなんかしねーよ!」
 思わず反論するが、ご主人はからからと笑うばかりだ。くっそ、知ってたけど通じてねえ。
 俺たち、人間の言うところの【動物】の言葉は、ニンゲンにだけは通じない。犬も猫も、鳥も、みんな会話できるのに、不思議だ。
 そうまで思ったところで、そういえば兎と喋るのは初めてだと思い当る。
 この綺麗な兎は、どんな声で喋るのだろう?
 むくりと湧いた好奇心に従って、俺は口を開いた。
「なぁなぁ」
 兎に話しかけると、長い耳がぴくりと動いた。硝子玉みたいな目がこちらを向く。
 それから、ぐぅ、と低い音で鳴いた。どうやら警戒されているらしい。
「俺、陽介ってんだ。これからよろしくなー」
 害意がないと分かってもらえるように、出来る限り優しい声色で言う。
 硝子玉はその後しばらくじっと俺を見つめていたが、しかし、突然、物も言わずふいっと視線を逸らした。
 分かりやすい拒絶のリアクションに、落胆と不満が胸中を満たす。
 なんだよ、雑種犬の俺なんかとは話せないってか?
「……あぁ、野蛮な犬風情と喋ることなんか、なんもないって? そりゃ悪うございましたね」
 皮肉をたっぷり込めてそう言っても、奴の視線が俺に戻ることはない。
 その大きな耳は飾りか? 聞こえているくせに、嫌な奴。
「直斗くん、用心棒いらない?」
「……里中先輩、ドラマの見過ぎです」
 思いつきで呟いた言葉に、直斗くんが少し呆れた声で応えた。
「探偵が荒事に巻き込まれることなんて、そうありませんよ」
「あー。そっか、そーだよね……そもそもあたし完二くんみたいにコワモテじゃないしなー、駄目か」
 溜息交じりに頷くと、直斗くんはこてんと首を傾げた。
「突然どうしたんですか?」
「んー。ちょっとね? あたしに手伝えること、何かないかなって思ってさ?」
 あたしはそれを笑って誤魔化す。
 質問の意図は、単純だ。あたしは何とかして直斗くんの力になりたいのである。
 強い正義感と明晰な頭脳を武器に、世の中の理不尽や悪人と闘う直斗くんはまるで、映画や漫画に出てくるヒーローみたいで、あたしはそんな直斗くんに、こっそり憧れと尊敬を抱いている。
 だから、あたしは彼女の手助けがしてみたかった。
 頭脳とかじゃ全然追いつかないから駄目だけど、彼女の不得手とする体術とかなら、助けになれないかな、なんて考えたのだ。
 まぁ、とはいえ、直斗くんは普通に強い。
 さっき言ったように体術こそ不得手だけれど、銃の腕は百発百中ってくらい正確だし、何より、状況分析能力と咄嗟の判断はリーダーと同じ位頼りになる。それに本人いわく荒事に巻き込まれることは少ないらしいから、直斗くんが探偵業をやっていて危機に陥る状況なんて殆どないのだろう。
 ……だけど、それでも。直斗くんはあたしより小さくて、華奢な、女の子なのだ。
 そんな彼女を少しでも危険から守りたいと思うのは、おかしいことだろうか。
 小さくうぅんと唸ると、直斗くんはくすっと笑った。
「本当に、お気持ちだけで十分です。先輩がいてくれることは、先輩自身が思っているよりずっとずっと、僕の支えになっているんですよ」
 だから先輩はそのままでいてください。
 そういわれてしまえば返す言葉などどこにもなく。
「直斗くんマジ探偵王子ー……」
「へ!? なんでそこでそうつながるんですか!?」
 ほんとにかっこいいんだからもう、と胸中で呟いて、あたしは直斗くんの頭をわしゃわしゃと撫でるのだった。
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