「直斗くん、用心棒いらない?」
「……里中先輩、ドラマの見過ぎです」
思いつきで呟いた言葉に、直斗くんが少し呆れた声で応えた。
「探偵が荒事に巻き込まれることなんて、そうありませんよ」
「あー。そっか、そーだよね……そもそもあたし完二くんみたいにコワモテじゃないしなー、駄目か」
溜息交じりに頷くと、直斗くんはこてんと首を傾げた。
「突然どうしたんですか?」
「んー。ちょっとね? あたしに手伝えること、何かないかなって思ってさ?」
あたしはそれを笑って誤魔化す。
質問の意図は、単純だ。あたしは何とかして直斗くんの力になりたいのである。
強い正義感と明晰な頭脳を武器に、世の中の理不尽や悪人と闘う直斗くんはまるで、映画や漫画に出てくるヒーローみたいで、あたしはそんな直斗くんに、こっそり憧れと尊敬を抱いている。
だから、あたしは彼女の手助けがしてみたかった。
頭脳とかじゃ全然追いつかないから駄目だけど、彼女の不得手とする体術とかなら、助けになれないかな、なんて考えたのだ。
まぁ、とはいえ、直斗くんは普通に強い。
さっき言ったように体術こそ不得手だけれど、銃の腕は百発百中ってくらい正確だし、何より、状況分析能力と咄嗟の判断はリーダーと同じ位頼りになる。それに本人いわく荒事に巻き込まれることは少ないらしいから、直斗くんが探偵業をやっていて危機に陥る状況なんて殆どないのだろう。
……だけど、それでも。直斗くんはあたしより小さくて、華奢な、女の子なのだ。
そんな彼女を少しでも危険から守りたいと思うのは、おかしいことだろうか。
小さくうぅんと唸ると、直斗くんはくすっと笑った。
「本当に、お気持ちだけで十分です。先輩がいてくれることは、先輩自身が思っているよりずっとずっと、僕の支えになっているんですよ」
だから先輩はそのままでいてください。
そういわれてしまえば返す言葉などどこにもなく。
「直斗くんマジ探偵王子ー……」
「へ!? なんでそこでそうつながるんですか!?」
ほんとにかっこいいんだからもう、と胸中で呟いて、あたしは直斗くんの頭をわしゃわしゃと撫でるのだった。
「……里中先輩、ドラマの見過ぎです」
思いつきで呟いた言葉に、直斗くんが少し呆れた声で応えた。
「探偵が荒事に巻き込まれることなんて、そうありませんよ」
「あー。そっか、そーだよね……そもそもあたし完二くんみたいにコワモテじゃないしなー、駄目か」
溜息交じりに頷くと、直斗くんはこてんと首を傾げた。
「突然どうしたんですか?」
「んー。ちょっとね? あたしに手伝えること、何かないかなって思ってさ?」
あたしはそれを笑って誤魔化す。
質問の意図は、単純だ。あたしは何とかして直斗くんの力になりたいのである。
強い正義感と明晰な頭脳を武器に、世の中の理不尽や悪人と闘う直斗くんはまるで、映画や漫画に出てくるヒーローみたいで、あたしはそんな直斗くんに、こっそり憧れと尊敬を抱いている。
だから、あたしは彼女の手助けがしてみたかった。
頭脳とかじゃ全然追いつかないから駄目だけど、彼女の不得手とする体術とかなら、助けになれないかな、なんて考えたのだ。
まぁ、とはいえ、直斗くんは普通に強い。
さっき言ったように体術こそ不得手だけれど、銃の腕は百発百中ってくらい正確だし、何より、状況分析能力と咄嗟の判断はリーダーと同じ位頼りになる。それに本人いわく荒事に巻き込まれることは少ないらしいから、直斗くんが探偵業をやっていて危機に陥る状況なんて殆どないのだろう。
……だけど、それでも。直斗くんはあたしより小さくて、華奢な、女の子なのだ。
そんな彼女を少しでも危険から守りたいと思うのは、おかしいことだろうか。
小さくうぅんと唸ると、直斗くんはくすっと笑った。
「本当に、お気持ちだけで十分です。先輩がいてくれることは、先輩自身が思っているよりずっとずっと、僕の支えになっているんですよ」
だから先輩はそのままでいてください。
そういわれてしまえば返す言葉などどこにもなく。
「直斗くんマジ探偵王子ー……」
「へ!? なんでそこでそうつながるんですか!?」
ほんとにかっこいいんだからもう、と胸中で呟いて、あたしは直斗くんの頭をわしゃわしゃと撫でるのだった。
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