【AM 10:00 GAME START】
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その日目を覚ますと俺は、花村と二人、見慣れぬ部屋にいた。
「――?」
隣でのんきに眠る花村の寝息を聞きながら、のそりと寝ていたベッドから身を起こして辺りを見回す。
――そこは、八畳ほどの部屋だった。
フローリングの床と、四方を囲む白い壁。部屋の中央には小さな机が置かれ、右と左の壁に、向かい合うようにしてドアがある。ベッドの真正面の壁にはデジタル時計が掛けられていて、現在時刻が午前十時であることを教えてくれていた。他にはエアコンと、小さな通風孔が上部に確認できる。部屋の隅には小さいけれど冷蔵庫が置いてあった。
全体的に生活感の薄い、殺風景な部屋だ。当然だけれど、うちにこんな部屋は無い。
というか、なんで俺達はこんなところに居るんだろうか。昨日はそれぞれの部屋で寝ていたはずなのに。
「……どこだよ、ここ」
不安に逸る気持ちを押さえつけるように深呼吸を一つ、隣で眠る花村を起こさないように、そっとベッドから降りる。
狼狽えている場合じゃない。先ずは、現状把握に努めなければ。
――とりあえず、外に出れば何かわかるかもしれない。
そう考えながら、とりあえず左手のドアの把手に手をかけてみたが、どれだけ力を入れても全く動く様子を見せない。どうやらこの扉は施錠されているらしかった。
ならばと踵を返して、後ろに会ったもう一つのドアの把手へと手を伸ばす。こちらは少し力を入れるだけであっさりと開いたが、奥にあったのは洗面所とトイレ、それからバスルームだけだった。こちらにも、窓はない。
少し落胆しながら最初の部屋に戻り、今度は部屋の隅にあった冷蔵庫の扉を開ける。スカスカの冷蔵庫の中には、それでも500mlのミネラルウォーターのペットボトルが4本と、それからゼリー飲料が2つ、それとカロリーメイト4本入りが4種1箱ずつ突っ込まれていた。それ以外には、特に食料もヒントになりそうなものもない。
冷蔵庫の扉を閉め、それから、最後にふっと机の上を見て――溜息を吐く。
机の上には、二枚の封筒。片方には俺の名前、片方には花村の名前が宛名として書かれていた。そして、その横に踊るのは「密室からの脱出方法」の文字。
流石にここまでくれば、寝起きで鈍った頭も現状を理解する。
――さっぱり意味が分からないが、つまり、俺達は二人で、何者かの手によって拉致されて、この部屋に閉じ込められてしまっているらしい。
「……どこの脱出ゲームだよ」
呻くが応える声はない。
返事がないことは知っていた気がするけれど、やはり苛つく。人を攫ってこんな所に閉じ込めて、一体何だっていうんだ!
俺は自分の名前の書いてある封筒を手に取り、怒り任せ、乱暴にその封を破った。
引き出した便箋を開き、書かれた文章をざっと目で追って――
「…………は」
そして、絶句した。
中から出てきた便箋に書かれた脱出方法は、実にシンプルで。
かつ、とんでもないものだったからだ。
『12時間以内に、花村陽介とセックスする事』
ちょっと待ておいコラ、ふざけんな、なんだそれ!
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その日目を覚ますと俺は、花村と二人、見慣れぬ部屋にいた。
「――?」
隣でのんきに眠る花村の寝息を聞きながら、のそりと寝ていたベッドから身を起こして辺りを見回す。
――そこは、八畳ほどの部屋だった。
フローリングの床と、四方を囲む白い壁。部屋の中央には小さな机が置かれ、右と左の壁に、向かい合うようにしてドアがある。ベッドの真正面の壁にはデジタル時計が掛けられていて、現在時刻が午前十時であることを教えてくれていた。他にはエアコンと、小さな通風孔が上部に確認できる。部屋の隅には小さいけれど冷蔵庫が置いてあった。
全体的に生活感の薄い、殺風景な部屋だ。当然だけれど、うちにこんな部屋は無い。
というか、なんで俺達はこんなところに居るんだろうか。昨日はそれぞれの部屋で寝ていたはずなのに。
「……どこだよ、ここ」
不安に逸る気持ちを押さえつけるように深呼吸を一つ、隣で眠る花村を起こさないように、そっとベッドから降りる。
狼狽えている場合じゃない。先ずは、現状把握に努めなければ。
――とりあえず、外に出れば何かわかるかもしれない。
そう考えながら、とりあえず左手のドアの把手に手をかけてみたが、どれだけ力を入れても全く動く様子を見せない。どうやらこの扉は施錠されているらしかった。
ならばと踵を返して、後ろに会ったもう一つのドアの把手へと手を伸ばす。こちらは少し力を入れるだけであっさりと開いたが、奥にあったのは洗面所とトイレ、それからバスルームだけだった。こちらにも、窓はない。
少し落胆しながら最初の部屋に戻り、今度は部屋の隅にあった冷蔵庫の扉を開ける。スカスカの冷蔵庫の中には、それでも500mlのミネラルウォーターのペットボトルが4本と、それからゼリー飲料が2つ、それとカロリーメイト4本入りが4種1箱ずつ突っ込まれていた。それ以外には、特に食料もヒントになりそうなものもない。
冷蔵庫の扉を閉め、それから、最後にふっと机の上を見て――溜息を吐く。
机の上には、二枚の封筒。片方には俺の名前、片方には花村の名前が宛名として書かれていた。そして、その横に踊るのは「密室からの脱出方法」の文字。
流石にここまでくれば、寝起きで鈍った頭も現状を理解する。
――さっぱり意味が分からないが、つまり、俺達は二人で、何者かの手によって拉致されて、この部屋に閉じ込められてしまっているらしい。
「……どこの脱出ゲームだよ」
呻くが応える声はない。
返事がないことは知っていた気がするけれど、やはり苛つく。人を攫ってこんな所に閉じ込めて、一体何だっていうんだ!
俺は自分の名前の書いてある封筒を手に取り、怒り任せ、乱暴にその封を破った。
引き出した便箋を開き、書かれた文章をざっと目で追って――
「…………は」
そして、絶句した。
中から出てきた便箋に書かれた脱出方法は、実にシンプルで。
かつ、とんでもないものだったからだ。
『12時間以内に、花村陽介とセックスする事』
ちょっと待ておいコラ、ふざけんな、なんだそれ!
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