意外、と思われるかもしれないけれど、一年の中で俺が一番好きな季節は冬だったりする。
まぁ、正しくは、好きになったのはほんの数年前。その理由はひどく単純だ。
深々と冷える冬の夜、ベッドの中で微睡んでいたところに、こん、こん、と控えめなノックの音が響いた。
「……花村、起きてる?」
「……ん。起きてるよ」
静寂を出来るだけ乱さぬようにと幽かな声で紡がれる呼びかけ。それに上体を起こしながら応えると、かちゃりと小さく音を立ててドアが開かれる。その向こうには、枕を抱えた卯月が所在無さげに立っていた。
「どうした?」
答えなんか分かりきっているけれど、それでもつい問いかけてしまう。
だってほら、恥ずかしそうに顔を俯けて視線を逸らす姿は、とても可愛らしいので。
「……その。寒いから……今日も、一緒に寝ても、いい?」
「勿論いいよ。おいで、卯月」
毛布を捲り上げ、ぽん、とベッドマットを叩いて呼んでやると、卯月の表情が嬉しそうにふわりと綻んだ。
後ろ手にドアを閉め、いそいそとベッドに上がってきたその身体をぎゅっと強く抱きしめて、そのまま二人で倒れこむ。卯月が腕の中で小さく笑う声が、暖かく俺の心を満たした。
もう一度言おう。俺は冬が好きである。
何故なら、普段は遠慮がちな恋人が、唯一素直に俺に甘えてくる時期なので。
まぁ、正しくは、好きになったのはほんの数年前。その理由はひどく単純だ。
深々と冷える冬の夜、ベッドの中で微睡んでいたところに、こん、こん、と控えめなノックの音が響いた。
「……花村、起きてる?」
「……ん。起きてるよ」
静寂を出来るだけ乱さぬようにと幽かな声で紡がれる呼びかけ。それに上体を起こしながら応えると、かちゃりと小さく音を立ててドアが開かれる。その向こうには、枕を抱えた卯月が所在無さげに立っていた。
「どうした?」
答えなんか分かりきっているけれど、それでもつい問いかけてしまう。
だってほら、恥ずかしそうに顔を俯けて視線を逸らす姿は、とても可愛らしいので。
「……その。寒いから……今日も、一緒に寝ても、いい?」
「勿論いいよ。おいで、卯月」
毛布を捲り上げ、ぽん、とベッドマットを叩いて呼んでやると、卯月の表情が嬉しそうにふわりと綻んだ。
後ろ手にドアを閉め、いそいそとベッドに上がってきたその身体をぎゅっと強く抱きしめて、そのまま二人で倒れこむ。卯月が腕の中で小さく笑う声が、暖かく俺の心を満たした。
もう一度言おう。俺は冬が好きである。
何故なら、普段は遠慮がちな恋人が、唯一素直に俺に甘えてくる時期なので。
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