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書き散らかしたもの置き場
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#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
観月さん(@mituki_mut)家の自宅主くん、槙原怜司くんをお借りしています。
リクエストは勿論観月さん。ありがとうございました!
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「はぁ……」
 不慮の事故により、えらく軽くなってしまった財布の中身を見て小さく溜息を吐く。
 まさかブラウザゲームに3万もぶっ込まれるとは思わなかった。流石にそれだけの金を投じただけあってお目当てのものは入手出来たようなので嬉しそうなのはいいのだが、その代償は大きい。
 少し複雑な心持で、パソコンに向かう怜司の華奢な背中を見る。
(まぁ、悪いことばっかじゃねーけどさ)
 最近の怜司はなかなかアクティブだ。
 テレビに影響を受けて格付けチェックを仕掛けてみたり、捨て猫を拾ってきたり、ブラウザゲームに手を出してみたり、コンビニにひとりで出かけてみたり。周囲にあるものに興味を持つことや自主的にできることが増えてきた。
 少しずつではあるけれど、泣いたり笑ったり感情も外に出すようになってきたので、俺が毎回なにかしら痛い目を見ている事実さえどこかに置いておけば、結構いい兆候なのかもしれない。
(俺だって、怜司が楽しかったり嬉しかったりするのは、嬉しいんだよ。けどさ)
 ……せめて食らうダメージが低くなれば、もう少し素直に喜べる気がするんだけれど。
「……ようすけ? どうかした?」
 妙に静かにしている俺のことが気になったのか、怜司がすこしきょとんとした表情で振り向く。
「あー、いや、何でもないよ」
 その表情を曇らせたくなくて曖昧な笑みを返せば、そう、と呟いて怜司は再びパソコンに向き直った。悲しいかな、俺への興味は現在ゲームより低いらしい。
(…………取りあえず、当面の問題として食費どうすっかな……)
 切実な悩みを見透かしたように、足元で腹が減ったといちが鳴いた。
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#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
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 のんびりとした時間の流れる春の午後、猫達の溜まり場になっている家に向かうと、何故か今日に限って誰の姿もなかった。
 きょろきょろと辺りを見回す。庭先にも家の中にも餌がないわけではないのに、誰も遊びに来ていない。みんな忙しいのだろうか、それともタイミングが合わなかったのだろうか。
 少しばかり寂しい気もしたけれど、元々誰かに会いたいと思って来たわけではないのだと気持ちを切りかえる。
 誰もいないということは、あのこわい化け猫もいないということだ。ほっと息を吐き、安心してお気に入りのちりめん座布団の上にごろんと寝転がる。全身を 包むもふっとした感触が何とも幸せだ。今日はいい天気だし、ゆっくり眠れそうな気がする。陽だまりの暖かさに微睡んで、そろそろ眠りに落ちるかと思った瞬間、ふと頭上に影がさした。反射的に転がって移動すると、今まで寝ていたところに手が置かれる。起きてたか、という残念そうな声の持ち主は、猫を集めるばかりのこの家の、酔狂な家主だ。
 寝起きを襲うとはヒキョウなやつめ。だけど触らせてなんかやらないぞ。
 ふんと鼻を鳴らすと、奴は仕方ないと呟いて懐から何かを取り出した。その直後、ぱきんと何かを割るような音と、ふわんと辺りに食欲をそそるいい香りが漂う。
 まさかと思って奴を振り仰げば、その手にあるのは――滅多にお目にかかれない、高級マグロ缶詰。
「撫でさせてくれたら、独り占めしてもいいんだけどなー」

 ヒキョウである。
 ヒキョウの極みである。
 それでも撫でさせてなんて……!










 悔しいけどマグロ美味しかったです。うにゃん。
#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストはチャイさんより。ありがとうございました!
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 桜の下には屍体が埋まっているという。

 ならば私の足元にも誰かが埋まっているのかもしれないなと、ぼんやりとした頭で春のうららかな陽気に不釣り合いなことを考えた。
 軽く目を瞑り、ぼこん、と私の足元の土を突き破って骨の腕が生えてくる様を想像する。続いて逆の腕、それからしゃれこうべ。その様はまるでB級のホラー映画だけれど、こちらも幽霊なのでまぁ今更構うことはない。
 さて、白骨の彼だか彼女だかは、どんな性格をしているのだろう。私のことは見えるだろうか。見えたら、何か話が出来るだろうか。
 想像の中で益体もないことを考える。白骨死体でも腐乱死体でも何でもいい。この退屈さえ、紛らわせるなら。

 ……私は所謂、地縛霊という奴だ。
 生前、リストラと離婚の憂き目にあい、生きているのが嫌になって家の玄関先にある桜の木で首を吊って、命を絶ったはずだった。けれど何故かもう一度目覚めてしまい、気づいたら死んだときと同じように、ロープを首に巻き付けて、ぷらんと木の枝にぶら下がっていた。
 肉体がないのだから当たり前かもしれないが、吊られていても苦しさは全く無い。けれど代わりに、食い込むロープを外すことはどうしてもできず、結果、ずっとここに縛り付けられる生活を送っている。
 来る日も来る日も同じ場所から動くこともできず、ご飯を食べることもできず、誰かと話すこともできず、無為に日々を過ごすことしか許されていない。そんな地縛霊の生活は退屈の一言で、こうしてありもしない想像をすることくらいしか楽しみもない。あまりにも毎日変わり映えが無さすぎて、つまらなさでもう一回死んでしまえそうだとすら思う。いや、死ねたら楽になるのだが。
 はぁ、と溜息を吐くと同時、頭上から桜の花びらがひらりと落ちてきて、私の身体をすり抜けて何処かへと飛んで行く。
 それだけの光景が、ひどく羨ましいものに見えた。

 ……私もどうせ幽霊になるなら、あんな風に飛べるようになりたかったなぁ。

 叶いもしない望みを抱いた私を嗤うように、ロープがきしりと音を立てた。
#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストは裏ぽんさんより。ありがとうございました!
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「世界を見て見聞を広げろ」と、王は僕に言った。
 あの日あの命を受けていなければ、今、僕は何をしていたのだろう?

 タルシスには、故郷とは違う温かで優しい風が吹く。
 気球を駆る空は青く、眼下に見える大地は草木の緑が鮮やかだ。
 僕は、この色彩をここに来るまで知らなかった。風は身を切るように冷たく厳しいもので、空は何時でも雪を降らす灰色の分厚い雲に覆われ、大地は氷雪に埋め尽くされているのが当たり前だった。初めてタルシスに来たときは、あまりの違いに感動すら覚えたものだ。
 故郷の景色も嫌いではないけれど、それでも、タルシスの景色はとても美しく、素晴らしいものだと思う。この景色を知る機会を与えてくれた王には、感謝するばかりだ。
 そんなことを考えていると、ふと、風の流れが少し変わったことに気付いた。
 まさかFOEでも近付いてきたのだろうかと辺りを見回し――そして安堵する。視界に映ったのは魔物の姿ではなく、見知った冒険者の気球だったからだ。
「おーい、キルヨネン! 頼まれてた食材、取れたから持ってきたぞー!!」
「あぁ、わざわざありがとう!」
 張り上げられた声に応え、笑う。タルシスに来るまでは、書物の知識からただの無法者だと思っていた冒険者だが、実際触れ合ってみればそんなことはなく、むしろ気のいい者が多い。例えばこうして、人の依頼を手伝ってくれるようなことも少なくないのだ。
 土地に対して、魔物に対して、人に対して。新しいことを知るごとに、僕の世界は在り方を変えそして広がっていく。
 いつか故郷に帰った時、僕の報告を受けて、王は何を思うのだろう。
 僕の得た見聞は、国から出ることのない王の世界を広めることができるのだろうか。
 ――そうであればいいと、強く思う。
#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
リクエストはありよしさんより。ありがとうございました!
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 その刀剣男子は、一見すると短刀のような容姿をしていた。
 陽光に輝く銀糸の髪に、橄欖石のような美しい眼の色。多分に幼さを残したその面差しは、愛らしささえ感じられる。
 端的に言えば非常に可愛らしい。素直な感想としてそれを伝えると、彼はその大きな目を、猫のように細めて嬉しそうに笑って見せた。
「褒めてくれてありがとう、でもね」
 ――そして、一瞬の後。
 目にも留まらぬ早業で抜かれた刀の切っ先が、己の喉元に突きつけられる。
「だからって舐めてもらっちゃ、困るよ?」
 突きつけられた刀の長さは、優に三尺を越える。
 突然の事態に思わず息を詰めた己を一瞥すると、少年はすぐにその大太刀を苦も無く背に負った鞘に納め、悪戯に笑った。
「僕の名前は、蛍丸。これでも三尺三寸ちょっとの大太刀なんだ。これからよろしくね、主様?」
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