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書き散らかしたもの置き場
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#リプ来たキャラごとに今思いついた書く予定なんてひとつもない小説の一部分を書く
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 のんびりとした時間の流れる春の午後、猫達の溜まり場になっている家に向かうと、何故か今日に限って誰の姿もなかった。
 きょろきょろと辺りを見回す。庭先にも家の中にも餌がないわけではないのに、誰も遊びに来ていない。みんな忙しいのだろうか、それともタイミングが合わなかったのだろうか。
 少しばかり寂しい気もしたけれど、元々誰かに会いたいと思って来たわけではないのだと気持ちを切りかえる。
 誰もいないということは、あのこわい化け猫もいないということだ。ほっと息を吐き、安心してお気に入りのちりめん座布団の上にごろんと寝転がる。全身を 包むもふっとした感触が何とも幸せだ。今日はいい天気だし、ゆっくり眠れそうな気がする。陽だまりの暖かさに微睡んで、そろそろ眠りに落ちるかと思った瞬間、ふと頭上に影がさした。反射的に転がって移動すると、今まで寝ていたところに手が置かれる。起きてたか、という残念そうな声の持ち主は、猫を集めるばかりのこの家の、酔狂な家主だ。
 寝起きを襲うとはヒキョウなやつめ。だけど触らせてなんかやらないぞ。
 ふんと鼻を鳴らすと、奴は仕方ないと呟いて懐から何かを取り出した。その直後、ぱきんと何かを割るような音と、ふわんと辺りに食欲をそそるいい香りが漂う。
 まさかと思って奴を振り仰げば、その手にあるのは――滅多にお目にかかれない、高級マグロ缶詰。
「撫でさせてくれたら、独り占めしてもいいんだけどなー」

 ヒキョウである。
 ヒキョウの極みである。
 それでも撫でさせてなんて……!










 悔しいけどマグロ美味しかったです。うにゃん。
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